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製品含有化学物質管理 >> RoHS分析あれこれ >> 第四回

第四回 : 検証分析を効率的に行うために

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 検証分析を効率的に行うために

前回は、プリント板ユニットの蛍光X線スキャン分析を例に、不適合が発見された後どのように考察し対処すべきかをお話しました。しかし、発見後も大変ですが、モジュール部品などの場合は、そもそも発見すること自体、結構大変です。

 

そこで、今回から数回に分けて「検証分析を効率的に行うための考え方」をお話します。今回は、分析がなぜ大変か?効率的に行うにはどのようにアプローチすべきか?についてお話します。

材料単体ならばともかく、装置全体あるいはモジュール部品であっても検証分析は大変です。なぜ大変かと言えば、第一に管理単位である素材(均一物質)の数が莫大であるということです。一つの装置にはいくつものモジュールが含まれ、各々のモジュールはたくさんの部品から構成され、その部品は複数の素材から構成される・・掛け合わせると莫大な数となり、とてもではないが全て分析しきれない。この事情は分析機関等に分析依頼をされるハード設計者なら良くお分かりになると思います。

さらに実際に分析しようとすると、各々の素材はそう簡単に分離できない!という問題があります。均質材料の定義である「機械的分離可能」とは、原理的に分離可能ということで、簡単に分離できるという意味ではありません。第一回で、LSI部品のモールドレジン、金ワイヤー、リードのめっき等は異なる均質材料である(英国DTI:日本の経済産業省に相当)というお話をしましたが、プリント板上のLSIパッケージを引き剥がして(これ自体結構手間取りますが)さらにそのLSIから金ワイヤーだけ分離するのは並大抵のことではありません。

しかも、分離した金ワイヤーは1mgあるかどうかというほど微量です。その中の不純物レベルの元素量を測るのも大変です。技術的に不可能ではありませんが、一般にサンプル量が微量になるほど精度は低下し、コストはアップします。

 

では、どうすればよいのでしょう?

先ず、分析の目的は「一点の曇りも無いことを証明すること」ではなく、「製造者の管理レベルをチェックすること」です(第二回参照)。相手の管理レベルのチェックなら、全部の素材を分析しなくても把握できます。鉛やカドミウムが入るはずも無い部位は無視して、杜撰な管理をしているといかにも混入してしまいそうな部位を重点的に調べれば良いのです。

もう一つは、素材を分離しなくても蛍光X等の分析結果から知恵を働かせて推理することです。もちろん、そのためには分析技術に加えて、部品や材料についての多様な情報やノウハウの蓄積が必要ですが・・・。

つまり、分析対象とする部位を絞り、知恵を働かせて分離せずに分析することで効率的な分析が可能になるわけです。

一言で言えばそういうことなのですが、言うは易し行うは難し、です。

第五回は、まず分析対象とする部位をどのような考え方で絞り込むかについてお話します。