XRD|X線回折法分析

分析概略
XRD(X線回折法)は、大気中での非破壊測定が可能であり、試料形態(粉末・バルク・ウエハー・薄膜)を選ばない高い汎用性を備えています。
未知物質の特定において、SEM-EDSやXRF、XPSといった元素分析は極めて有効ですが、それだけでは不十分なケースも少なくありません。例えば「同じ元素組成でありながら結晶構造が異なる物質(同質異像)」の判別は、XRDのみが可能です。結晶性材料であれば、初期分析の段階でXRDを導入することで、相同定だけでなく結晶化度や歪み評価までを迅速に行い、研究開発や不具合解析のリードタイム短縮に貢献します。
多彩なフォームファクタに対応(非破壊・大気中測定)
結晶性試料であれば、ベアウエハからチップ状のバルク、ナノオーダーの薄膜、粉末まで、大気中で非破壊測定が可能です。前処理による試料へのダメージを最小限に抑え、デバイスの構造を維持したまま迅速な評価を実現します。
組成分析の限界を超える「相」の特定
SEM-EDSやXPSなどの元素分析では判別が難しい、ポリタイプ(同質異像)や酸化数の違いを明確に同定。例えば、絶縁膜や電極材料の相転移、微小異物の結晶構造など、デバイス特性を左右する「原子配列の状態」を正確に特定します。
フロントエンド解析の加速による「手戻り」の防止
未知物質のスクリーニングにおいて、組成情報と結晶構造を初期段階で紐付けることにより、解析プロセスの逆戻りを防ぎます。デプロセス(層剥離)後の残渣特定や、開発初期の材料選定における意思決定を劇的にスピードアップさせます。
次世代プロセスに不可欠な構造評価
薄膜の配向性評価(ロッキングカーブ測定)や、エピタキシャル成長層の品質確認、さらには格子定数の変化による内部歪み(ストレス)解析など、半導体製造プロセスの高度な要求に応える詳細な構造評価データを提供します。
※各分析手法の分析深さはSMART Chartからご覧いただけます。
用途事例
次世代パワー半導体の結晶性評価
- 結晶方位・配向性評価: GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)エピウエハの結晶軸の揃い方を解析。
- テクスチャ測定: 微結晶の配向分布を測定し、電力効率に直結するキャリア移動度を最適化。
- 結晶相同定: 新材料の成膜プロセスにおける結晶相とアモルファス相の区別・決定。
先端ロジックIC・メモリのプロセス制御
- 格子歪み・応力測定: GAA(Gate-All-Around)や歪みシリコンの格子歪みを定量化。
- 結晶子サイズ・結晶化度: 3D NANDのポリシリコン膜や、High-k(高誘電率ゲート絶縁膜)の結晶化率を測定。
- 合金組成の特定: **SiGe(シリコンゲルマニウム)**層の格子定数からGe含有量を定量化。
デバイスの信頼性・品質管理
- 残留応力解析: Siウエハの薄化やTSV(シリコン貫通電極)形成による圧縮・引張応力を評価。
- In-situ(その場)観察: 高温XRDを用い、電極シリサイド化反応などの熱処理工程をリアルタイム解析。
- 炭素系材料の識別: 放熱板や保護膜に用いるグラファイト、ダイヤモンド、DLCの構造決定。
故障解析・不純物同定
- 不明物質・化合物の同定: 製造工程で発生した微小な異物や析出物の結晶構造を特定。
- 結合構造解析: 同一核種からなる異種構造(同素体)を判別し、物性不良の原因を究明。
原理 / 特徴
結晶試料中にX線が入射すると、特定の方向に強くX線が回折される現象が生じます。図のような格子面からの回折を考えた場合、A面で回折されたX線とB面で回折されたX線の光路差は2d sinθとなります。この値がX線の波長の整数倍であった場合、回折X線の位相がそろい強い強度のX線が検出されることになります。

- 最大300mmウエハ対応
- 歪み評価(結晶の伸び縮みの変化量が測定可能)
- 応力評価(結晶性のある試料)
- 相同定・定性/定量評価
- microXRDは1000~1500umの範囲が分析可能
分析事例
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TiN薄膜の結晶子サイズのシミュレーション結果 |
SiGe濃度量変化の測定 |
分析に適した試料量 / 形状
- MicroXRDでは最小数mmの範囲から分析可能





