ウイルスクリアランス試験の受託

国内でのウイルスクリアランス試験のサービス拠点として、お客様ご自身で工程のスケールダウンモデルが構築可能な顧客専用ラボを完備し、プロジェクトをサポートします。
医薬品を研究開発・製造する製薬企業で、医薬品の新薬申請(IND:Investigational New Drug)や承認申請(BLA:Biological License Application)に向けたウイルスクリアランス試験を実施したいとお考えではないでしょうか。
ユーロフィン分析科学研究所(神戸ラボ:国内ラボ)及び当社海外ラボでは、GLP省令又はGMP省令準拠で管理された分析機器を用いて、ICH-Q5Aガイドラインに準拠した医薬品のウイルスクリアランス試験が実施可能です。
また、研究開発段階におけるNon-GMPスクリーニング試験も実施可能です。
ウイルスクリアランス試験の概要
ウイルスクリアランス試験は、バイオ医薬品の製造工程において、潜在的なウイルス汚染のリスクを最小化し、製品の安全性を証明するための試験です。
ICH-Q5A(R2)ガイドラインに基づき、製造ラインの各工程が「ウイルスを取り除く(除去)」又は「無害化する(不活化)」能力をどれだけ持っているかを数値で評価します。新薬申請(IND)や承認申請(BLA)において、工程の妥当性を証明するために必須です。
1.試験の基本原理
実際の製造ラインにウイルスを持ち込むことはできないため、スケールダウンモデル(小型化した製造スケール)を用いて以下の流れで試験を実施します。
- ウイルス添加(スパイク)
- 工程処理
- ウイルスの定量評価
ウイルス添加では、特定の工程(ろ過や精製など)の直前に、指標として選定したモデルウイルスを意図的に添加します。
工程処理では、実際の製造条件を反映したパラメータで処理を実施します。
ウイルスの定量評価では、工程処理前後のウイルス量を測定し、その減少量をウイルスクリアランス指数Riとして算出します。クリアランス指数は、慣習的にLRF(Log Reduction Factor)又は LRV (Log Reduction Value)と呼ばれる場合があります。
クリアランス指数Riは次式によって定義されています。
10Ri=(v’× 10a’)/(v’’× 10a’’)
工程処理前のサンプルにおける体積をv’、力価を10a’、工程処理前のウイルス含有量をv’× 10a’とし、同様に工程処理後のサンプルにおける体積をv’’、力価を10a’’、工程処理前のウイルス含有量をv’’× 10a’’としています。
これを対数(Log10)の形に書き換えると、実質的に以下の計算をしていることになります。
Ri=Log10(工程処理前のウイルス含有量)‐Log10(工程処理後のウイルス含有量)
つまり、Riは「ウイルスが何桁(何ログ)減ったか」という減少量を指します。
また、単一の工程でウイルスを完全に除去できるとは限らないため、複数の工程を組み合わせた「工程全体」としての除去能力を合算して、総ウイルスクリアランス指数(総Ri)も算出します。
例えば、バイオ医薬品が以下の工程で製造され、細胞培養の段階でウイルスが106存在するとします。

工程AにおけるRiが3、工程BにおけるRiが5、工程CにおけるRiが4であるとすると、総クリアランス指数(総Ri)は3+5+4で12算出されます。製造工程全体でウイルス量は1/1012に減少し、最終的にはウイルスが10-6相当まで減少します。
ICH-Q5A(R2)ガイドライン内で具体的な規格はありませんが、1回投与あたりのウイルス残存確率が10-6未満(100万回に1回以下)であれば、安全性は担保されていると言われています。
2.評価対象となる主な工程
ICH-Q5A(R2)では、ウイルス不活化やウイルス除去のメカニズムが異なる工程を組み合わせることが求められます。
不活化工程は、低pH処理、溶媒・界面活性剤処理などにより、ウイルスの構造を破壊する工程です。
除去工程は、ウイルス除去膜(ナノろ過)によるサイズ排除や、クロマトグラフィーによる吸着・分離を利用してウイルスを物理的に取り除く工程です。
3.モデルウイルスの選定
製品の製造に使用される細胞基材のリスクに応じて、物理化学的特性(ゲノムの種類、エンベロープの有無、サイズなど)の異なるウイルスを選択します。
ICH-Q5Aでは、ウイルスクリアランス試験に用いられたことのあるモデルウイルスが挙げられています。
当社の提供サービス
ウイルスクリアランス試験の一般的なワークフローは、以下の通りです。

ステップ1では、製造工程において、製造スケールの物理的・化学的条件をラボスケールで再現するためのスケールダウン工程を開発します。
ステップ2では、開発したスケールダウン工程が、実際の製造工程を正しく再現できているかをデータで証明します。
ステップ3では、測定系がサンプルによって阻害されないかを確認するために、細胞毒性試験(Cytotoxicity:Tox)及びウイルス干渉試験 (Interference:Int)を実施します。Tox/Int試験の方法としてはプラークアッセイを実施します。結果に基づき、本試験で測定可能な最小希釈倍率を決定します。
ステップ4では、工程処理及びウイルスの定量評価を実施します。ウイルスの種類は、お客様のご要望により決定します。工程処理は、ウイルス不活化工程、クロマトグラフィー工程、フィルトレーション工程などを実施します。定量評価はプラークアッセイ、ハイボリュームプラークアッセイ、qPCRなどを実施します。
当社では、お客様のご要望に合わせて、以下4つのレベルのサービスを提供しています。
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レベル(サービス名) |
お客様実施項目 |
当社実施項目 |
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レベル1 ベーシックサービス |
・スケールダウン工程の開発及びバリデーション(ステップ1・2) ・全ての工程処理(ステップ4の一部) |
全ての定量評価(ステップ3・4) |
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レベル2 グレードアップサービス |
・スケールダウン工程の開発及びバリデーション(ステップ1・2) ・クロマトグラフィー工程及びフィルトレーション工程操作(ステップ4の一部) |
・全ての定量評価(ステップ3・4) ・ウイルス不活化工程処理*(ステップ4の一部) |
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レベル3 フルカバーサービス |
・スケールダウン工程の開発及びバリデーション(ステップ1・2) ・技術移転 |
全ての定量評価及び工程処理*(ステップ3・4) |
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レベル4 ターンキー(一括)サービス |
なし |
・スケールダウン工程の開発及びバリデーション(ステップ1・2) ・全ての定量評価及び工程処理*(ステップ3・4) |
*:ラボにより対応可能な処理が異なります。
国内ラボ
当社の神戸ラボでは、以下のサービスが提供可能です(予定も含む)。
当社の神戸ラボでは、以下の主要なウイルスに対応しています(予定も含む)。
海外ラボ
当社の海外ラボである米国(ランカスターラボ)、中国(上海ラボ)及びイタリア(ミラノラボ)では、以下のサービスが提供可能です。
*:ミラノラボは全ての試験及び工程を実施するフルカバーサービスのみ提供のため。
各ラボは、以下の主要なウイルスに対応しています。
ランカスターラボでは、使用頻度の高い以下のウイルスを保有しています。記載のウイルス以外も相談可能です。
当社に依頼するメリット
- ユーロフィンBPTネットワークとしてウイルスクリアランス試験に20年以上の実績
- 多種多様なウイルスを用いたウイルスクリアランス試験が実施可能
- 神戸ポートアイランドという「ハブ」がもたらす圧倒的な利便性
- GMP 省令準拠で管理された分析機器を保有
- 細胞株適格性試験からUPB試験まで、一貫したウイルス安全性評価が実施可能
ユーロフィンBPT(BioPharma Product Testing)ネットワークは、長年ウイルスクリアランス試験に力を入れており、多くの実績があります。
例えば、ランカスターラボでは、次のような製品、除去能力評価、不活性化能力評価の実績があります。
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項目 |
実績例 |
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製品 |
モノクローナル抗体、ワクチン、組み換えタンパク質、組織由来製品 |
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不活性化能力評価 |
低pH処理、溶媒・界面活性剤処理、UVC (深紫外線)、γ線照射、電子線照射 |
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除去能力評価 |
クロマトグラフィー工程(アフィニティ、イオン交換、疎水性相互作用)、ウイルス除去フィルターろ過工程 |
当社の神戸ラボでは、このランカスターラボで長期研修を積み、高度なウイルス学の知見を有する専門家が常駐しています。また、そこで築いた強固なネットワークにより、グローバルの最新トレンドや高度な技術的知見をリアルタイムに得てお客様に提供しています。
当社の海外ラボを活用することで、神戸ラボで取り扱う主要ウイルス(MMV、XMuLV等)以外の広範なウイルスを用いたウイルスクリアランス試験が実施可能です。
「原材料に由来する特定の汚染リスクへの対応」や「特殊な物理化学的処理に対する不活化能力の検証」、「主要ウイルスを補完するスクリーニング」など、お客様のプロセス特性に応じた最適な戦略を、当社国内窓口を通じてトータルサポートします。
当社の神戸ラボは、神戸ポートアイランドに位置しています。本拠点は、新神戸駅(新幹線)や神戸空港から至近であり、お客様の検体輸送を最短ルートで結び、輸送リスクの低減とリードタイムを劇的に短縮します。
また、立ち会い試験が容易となることで、実際のプロセス検証を現場で直接確認できるという大きな安心感につながります。
当社の神戸ラボは、GMP省令に準拠した組織を構築しています。その運営下で、プロトコルの作成、試験、サンプルの保管、施設・機器・システムの管理を実施し、お客様の申請データの信頼性を強力に支えます。
保有機器としては、最新のクロマトグラフィーシステムやqPCRなどを完備しています。
ウイルスクリアランス試験の実施に不可欠な細胞株適格性試験(Cell Line Characterization)、及び未加工/未精製バルク(UPB:Unprocessed Bulk)試験についても、当社国内窓口を通じて、豊富な実績を持つ海外ラボへ委託可能です。
原材料の確認から工程の評価まで、バイオ医薬品の開発段階に応じて、ICH-Q5Aガイドラインに準拠した包括的な試験をワンストップサービスで提供可能です。
ユーロフィン分析科学研究所(神戸ラボ:国内ラボ)及び当社海外ラボでは、GLP省令又はGMP省令準拠で管理された分析機器を用いて、各種ガイドラインに準拠し、医薬品のウイルスクリアランス試験が実施可能です。
ウイルスクリアランス試験をお考えであれば、ぜひ当社をご活用ください。ご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。


