QC GMP試験法におけるSPR Biacore™とBLI Octet®の力

ユーロフィンバイオファーマサービスの「ニュースレター2025年Summer号」が発行されました。
ユーロフィングループは、食品・製品・環境・アグロ・ジェノミクス・クリニカルダイアグノスティック・医薬品・材料等、幅広い分野に関わる分析及び検査サービスをグローバルに展開しています。
世界60カ国に950以上のグループラボがあり、200,000通りに及ぶ分析項目・手法を採用、年間4億5,000万件を超える試験を実施しています(2025年1月現在)。
医薬品分析は、ユーロフィンバイオファーマサービスが担当しています。日本国内においては、当社「ユーロフィン分析科学研究所(E-ASL)」が受託を行っています。一部のサービスは、当社ラボが海外ラボとの仲介となり受託しています。
バイオファーマサービスでは、お客様に最新情報をお届けするため、定期的にニュースレターを発行しています。
2025年Summer号のうち、以下4つの技術情報を紹介します。
- Eurofins BPTのミラノ拠点、欧州のお客様向けにウイルスクリアランス試験へのアクセスを強化
- 半自動化による力価試験の改善
- Eurofins BPT Italy、無菌試験の結果を最短4日で提供
- QC GMP試験法におけるSPR Biacore™とBLI Octet®の力
本技術コラムでは、「QC GMP試験法におけるSPR Biacore™とBLI Octet®の力」を紹介します。
著者:Frances Reichert, PhD, Biologics Technical Specialist Biologics, Eurofins BioPharma Product Testing Munich GmbH
Biacore™(Cytiva社)プラットフォームを用いた表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)と、Octet®(Sartorius AG社)プラットフォームを用いたバイオレイヤー干渉法(BLI:Bio-Layer Interferometry)は、生体分子の相互作用をリアルタイムで分析する、強力でラベルフリーな光バイオセンサー技術です。ELISAのような従来法とは異なり、SPRとBLIはいずれも蛍光や酵素タグによる標識を必要とせず、高い感度と再現性をもって、動態パラメーターや結合親和性を直接評価できます。
比較事例研究では、同じリガンドと治療用モノクローナル抗体を分析対象物として用いて、両プラットフォームでアッセイを確立しました。公称力価100%を表す標準品が、両方の設定に含まれました。
最初のアッセイでは、ヒト組換えCD32リガンドへの結合について、様々な濃度の分析対象物を評価しました。PLA 3.0ソフトウェア(Stegmann Systems)を使用して線形回帰モデルを適合させ、相対力価を決定しました。
2番目のアッセイでは、組換えCD16aリガンドとの分析対象物の会合および解離を、様々な濃度の参照標準品とサンプルを用いて評価しました。その後、機器固有のソフトウェアを使用して結合親和性(KD値)を算出しました。
両技術とも、相対力価と結合親和性の決定において、高い正確性と精度を示しました。これは、ELISAのようなラベルベースの技術と比較して大きな利点となります。両技術を比較したところ、SPRはBLIよりも高精度であり、詳細な動態解像度を必要とする用途に特に適していることがわかりました。対照的に、BLI技術はアッセイの実行時間が短いため、ハイスループットスクリーニングのワークフローに有利です。
要約すると、SPRとBLIの両方には明確な利点があります。我々の経験に基づくと、BLIの迅速なアッセイ形式はスクリーニング用途に理想的であり、一方、SPRは精密な動態データや親和性データ、そして場合によってはより高い感度を提供します。両技術は、従来のエンドポイントアッセイに代わる堅牢なラベルフリーの選択肢であり、バイオ医薬品の特性評価と力価評価の信頼性および効率性を向上させます。
さらに詳しい情報は、こちらをご覧ください。
原文は、The power of SPR Biacore™ and BLI Octet® in QC GMP methodsをご覧ください。
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