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ICH-Q3E E&L試験ガイドラインのポイントを解説

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製薬メーカーや包装デバイスメーカー注目すべき内容をまとめていますので、ぜひご覧ください。

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医薬品は、製造、包装、保管、流通、投与の過程で、製造・包装設備の構成部品及び最終包装等と接触し、予期せぬ相互作用を起こす可能性が指摘されています。

その結果、有機/無機化合物が医薬品へ溶出し、医薬品の有効性・安全性に多大な影響を与えることが懸念されています。抽出物・溶出物(浸出物)(E&L)試験は、これらの影響を評価・管理するために実施されます。

E&L試験は、米国や欧州ではすでに医薬品承認申請に必須です。最近では、日本でも非経口医薬品市場の急成長に伴い注目され始めています。

個別の動きとして、米国や欧州の規制当局から、E&L試験に関連するガイドラインが出ています。一方、国際的な動きとして、E&L試験は、ICHにおいてガイドラインの統一に向けた活動が始まっています。

 

ICHでは、以下5ステップでガイドラインの作成が行われています。

  • ステップ1:技術文書に関するコンセンサス構築
  • ステップ2a)技術文書に関するICH運営委員会のコンセンサス、b)規制当局によるガイドライン案の採択
  • ステップ3ICH調和ガイドライン案に対する協議と議論
  • ステップ4ICH調和ガイドラインの採用
  • ステップ5ICH調和ガイドラインの各国への実装

詳しくは、Formal ICH Procedureをご参照ください。

 

2025年8月20日時点、ICH-Q3Eのステータスはステップ2a/bとなっています。

2020年7月10日、ステップ1では、以下3文書が開示されていました。

  1. Q3E Concept Paper
  2. Q3E Business Plan
  3. Q3E Work Plan

 

2025年8月1日、ステップ2a/bに進み、以下2文書が新たに開示されました。

  1. GUIDELINE FOR EXTRACTABLES AND LEACHABLES Q3E(ドラフト版)
  2. SUPPORTING DOCUMENTATION: CLASS 3 LEACHABLE MONOGRAPHS

 

本技術コラムでは、今後ICH調和ガイドラインに準拠して、E&L試験を実施する可能性がある製薬メーカー、医療機器メーカー、包装デバイスメーカーの方のため、ICH-Q3Eガイドラインのポイントを解説します。

 

 

ステップ2a/b 開示文書のポイント解説

1.GUIDELINE FOR EXTRACTABLES AND LEACHABLES Q3E(ドラフト版)

本ガイドラインは、以下8章で構成されています。

  • 第1章:INTRODUCTION/はじめに
  • 第2章:SCOPE/適用範囲
  • 第3章:RISK ASSESSMENT AND CONTROL OF EXTRACTABLES AND LEACHABLES/Extractables(抽出物)及びLeachables(溶出物)のリスク評価及び管理
  • 第4章:CHEMICAL TESTING AND ASSESSMENT/化学的な試験及び評価
  • 第5章:ANALYTICAL EVALUATION THRESHOLD/分析評価閾値
  • 第6章:SAFETY ASSESSMENT/安全性評価
  • 第7章:GLOSSARY/用語集
  • 第8章:REFERENCES/参照文書

 

第1章では、ICH Q3Eガイドラインの目的と背景がまとめられています。

Leachables(溶出物:製品中に移行する化学物質)とExtractables(抽出物:実験的に抽出される化学物質)の定義が示されており、これらの不純物の評価と管理が患者の安全性と製品品質の確保に不可欠であることを強調しています。

 

Leachables

Extractables

製造装置やシステム、包装材、又は投与デバイスの構成部品から、製造条件及び保管条件下で医薬品製剤中に移行する化学物質

製造装置やシステム、包装材、又は投与デバイスの構成部品から、特定の実験条件下で意図的に抽出される化学物質、潜在的なLeachables

 

また、既存のICHガイドラインとの関連性や、リスクマネジメントの原則に基づく包括的な枠組みを提供することが述べられています。

 

第2章では、本ガイドラインの適用範囲がまとめられています。

新規医薬品(細胞・遺伝子治療製品を含む)において、Leachablesのリスク評価と管理が求められています。医薬品と医療機器の組み合わせ製品で、医薬品またはバイオ医薬品として承認が必要なものも対象です。

有機溶出物は本ガイドラインの主な対象です。元素分析の推奨手法は本ガイドラインの範囲内に含まれますが、元素溶出物の安全性評価については ICH Q3D により取り扱われており、本ガイドラインの対象外となります。

適用範囲は、新規製品だけでなく、部材の変更によってLeachablesのプロファイルが変化する既存製品も含まれます。

 

以下は、本ガイドラインの適用範囲外となっています。

  • 汚染や混入による異物
  • 生薬・動植物由来の未加工製品
  • 臨床研究段階の製品(高リスク時は例外あり)
  • 放射性医薬品(特別な懸念がある場合を除く)
  • 賦形剤の製造・保管システム

 

第3章では、Extractables及びLeachablesのリスク評価と管理についてまとめられています。

3.1 一般原則

リスク管理は、製品開発から承認、ライフサイクル全体に渡って継続的に行うべきです。品質リスク管理プロセスは、製品ごとに個別に開始され、リスク評価・リスク管理・ライフサイクル管理の3段階で構成されます。リスク管理は分析化学者と安全性専門家の連携が重要になります。

 

3.2 リスクマトリックス

リスクは医薬品の品質と安全性の両方について、以下の点を考慮して評価することが重要です。

品質

安全性

  • 製造装置や包装材と製剤の相互作用
  • 材料の化学・物理的性質
  • 製造・保管条件(温度、接触時間、表面積/体積比など)
  • 製剤の溶出性(pH、界面活性剤、APIなど)
  • 投与経路(経口、非経口、眼用、外用、吸入など)
  • 治療期間(慢性か急性か)
  • 投与量/頻度
  • 患者層(成人、小児、高齢者)

 

リスクの複雑性を理解し、適切な評価・管理戦略の構築が求められます。

 

3.3 リスク評価

3つのステップで構成されています。

ステップ

項目

ポイント

1

ハザードの特定

直接もしくは間接的に容器包装と接触する箇所からの潜在的Leachablesを特定する。

2

リスク分析

Leachablesの発生可能性と患者曝露量を評価する。

3

統合的リスク評価

品質・安全性・有効性への影響を総合的に判断し、使用の妥当性を評価する。

 

3.4 リスク管理

Leachablesのリスクを軽減する方法として、以下が挙げられています。

  • 材料やサプライヤーの変更
  • 事前洗浄、フラッシング、追加精製工程の導入

 

Leachablesの管理戦略として、品質管理(受け入れ基準、分析手順やサンプリング計画の設定など)を実施することが挙げられます。

容器包装、デバイス部品についてはExtractables & Leachables(E&L)試験が原則必要です。製造装置に関しては容器包装に比べると接触期間や面積・容量を加味するとリスクは低いですが、こちらもワーストケースでの試験が推奨されます。

また、患者の安全リスクが既知の知識により適切に軽減できる場合(例えば、確立されたExtractablesとLeachablesの相関、承認済み医薬品製剤と類似の溶出傾向を有する類似医薬品製品)、またAET(Analytical Evaluation Threshold:分析評価閾値)を超えるExtractablesが検出されていない場合、簡略化することが可能です。

 

また、特殊な事例として以下が挙げられています。

  • 同一素材の複数部品使用時は累積リスク評価が必要
  • 液体・半固体原薬の容器も評価対象
  • 凍結品は保存時の溶出は少ないが、凍結前後の溶出リスクについては評価が必要
  • バイオ医薬品では、反応性Leachablesによる品質・安全性への影響も考慮が必要

 

3.5 文書化とコンプライアンス

登録申請には、以下を含める必要があります。

  • 試験の正当性、報告書、安全性評価、管理戦略
  • AETを超える物質の詳細(化学名、構造、CAS番号、濃度)
  • LeachablesとExtractablesの相関データ
  • 緩和策の実施前後のデータ

 

また、安定性試験と連動したLeachablesデータの提出が必要となります。

 

3.6 リスクレビューとライフサイクル管理

以下の場合において、医薬品のLeachables評価が再度必要となります。

  • 容器包装の新たな情報(毒性リスクが高い化合物情報の更新など)を入手した場合
  • 製剤の処方成分が変更になった場合
  • 容器包装、デバイスもしくは製造設備(材料構成・サプライヤー・処理方法など)が変更になった場合
  • 製造工程(温度、圧力、洗浄方法など)が変更になった場合
  • 投与経路や患者層、適応症が変更となった場合

 

第4章では、E&L試験と評価方法がまとめられています。

4.1 既存の知識

E&L試験実施前に収集すべき情報について、以下が挙げられています。

  • 添加物の組成(例:ポリマー及びコポリマー、可塑剤、加工助剤、触媒、酸化防止剤など)
  • 食品接触適合性
  • 特定の(例:非認可)化合物が意図的に添加されていないことを示せるもの
  • 薬局方試験
  • 利用可能なExtractables試験データ
  • 生物学的反応性試験
  • 処理又は前処理工程(例:滅菌、洗浄、フラッシング、シリコン処理、表面処理)
  • 類似の医薬品、プロセス及び/又は接触条件での過去の使用履歴

 

4.2 部材の選定

製品の剤形や接触条件に応じて、部材のリスクレベルを評価する必要があります。

液剤と接触する部材は高リスクとされ、E&L試験が必要となります。

供給者情報に加え、E&L試験で適合性を確認することが求められます。

 

4.3 Extractables試験について

Extractables試験は試料検体から化学物質を抽出する試験です。対象の医薬品製剤から適切な溶媒、抽出条件をワーストケースで設定し包括的なプロファイルの作成が求められます。

 

Extractables試験で注意すべき点は、以下の通りです。

  • 医薬品製剤固有のAET(分析評価閾値)の設定と適用
  • 処理及び処理工程(例:滅菌、成形及び製造条件、洗浄、シリコン処理)を含む部材又は組み立てられたシステムに対する試験
  • 医薬品製剤に関連し、代表的なpH及び極性を持つ適切な溶媒の選定
  • 製造中又は包装部材/システムからの溶出物の最悪のシナリオ(例:接触面積、温度、接触時間)を模擬
  • 抽出物試験の目的に応じた適切な分析手法の使用
  • 揮発性、半揮発性、非揮発性有機抽出物及び元素抽出物に対する適切な分析手法の使用
  • 分析手法の詳細を記載した抽出物報告書の作成

 

クラス1 Leachables(第6章参照)が溶出する可能性がある場合、その化合物にターゲットを絞った試験方法でExtractables試験を実施する必要があります。

 

4.3.1 半定量Extractables試験

抽出液中に医薬品製剤中のLeachablesとなり得るExtractablesの有無をノンターゲットで確認する試験です。

ExtractablesもしくはLeachablesとして知られるいくつかの標準化合物を使用した分析を実施します。AET算出時、分析不確定係数を使用します。使用した標準品を用いて定量します。

AETを超えて検出されたExtractablesは今後のLeachablesのターゲットとなり得ます。

 

4.3.2 定量Extractables試験

製造部品や低リスク容器包装の半定量Extractables試験にてAET以上で検出されたExtractablesに対して実施することが適切とされる試験です。

AETを超えて検出されたExtractablesを同定します。同定されたExtractablesのAET超過量を、同一又は類似の分析応答を持つ標準物質を用いて定量します。特定の標準化合物に対して適切な分析手法を使用します。

定量Extractables試験での定量値が該当化合物の許容量を超える場合、Leachables試験のターゲットとすることが必要です。

 

4.4 Leachables試験

Leachables試験は実際の製造条件及び保管条件でのLeachables量の傾向を複数の経時点で評価し、最大Leachables検出量を確認する試験です。

複数のバッチでの実施ができない場合は代替アプローチが必要となります。

Extractables試験と同ロットの部材を使用することでExtractables/Leachablesの相関性を高めることが期待されます。

ターゲットありのLeachables試験は、感度、選択性、正確性及び精度について適切にバリデートされることが求められます。

ノンターゲットのLeachables試験の実施も推奨され、予期しないLeachablesの分解、二次包装からのLeachables、及び相互作用生成物の検出が期待されます。

ノンターゲットのLeachables試験では適切なAETの設定が求められます。

 

4.5 Simulated Leachables 試験

技術的にLeachables試験の実施が難しい場合(大容量注射剤(LVP)、複雑な処方成分の製剤による分析マトリックス干渉など)には模擬溶媒を使用した試験が可能です。

Simulated Leachables試験はLeachables試験結果を完全に再現することはできませんが、Leachables試験の代替もしくは補完として使用されることがあり、品質要件を満たす必要があります。

 

4.6 Extractables/Leachables相関

Leachablesは一般的にExtractablesの一部であり、検出されたLeachablesはExtractables試験で検出された濃度よりも低い傾向があります。

Extractables試験とLeachables試験の相関が確立されていれば、安定性試験においてExtractables試験をLeachables試験の代替として使用することが可能となります。

Extractables試験で検出されなかったLeachablesは、Extractables試験が不十分である可能性もしくは、Leachablesの分解、APIや賦形剤との相互作用、包装材からの新たなLeachables、材料の経年変化(例:紫外線、熱、酸素)などが原因である可能性があります。

Extractables/Leachables相関は、品質リスク評価に有用ですが、最終的にはLeachablesのプロファイルが、患者安全性リスク評価や容器包装部材の選択に重要になります。

 

第5章では、AET(分析評価閾値)がまとめられています。

AETは管理閾値ではなく、Extractables又はLeachablesが安全性評価のために同定・定量・報告されるべき濃度を示す閾値であり、E&Lリスク評価及び管理戦略の基盤を形成します。

AETの設定にはSCT(Safety Concern Threshold:安全性懸念閾値)を設定し、それに基づいて試験特有のAETを導出することを推奨しています。また、AETの設定にはAnalytical Uncertainty Factor(分析的不確実性係数)の使用も求められています。

このAETは、Extractables試験では「潜在的なLeachablesを見逃さないための検出基準」として、Leachables試験では「実際に患者が曝露する可能性のある化合物を評価するための基準」として機能します。

また、クラス1 Leachables(高毒性化合物)については、製品特有のSCTではなく、化合物特有の安全性限界を用いて評価する必要があり、より厳格な管理が求められます。

AETはE&L評価の技術的・規制的な基盤であり、製品開発、申請、ライフサイクル管理において、リスクベースの品質管理戦略を構築するために重要となります。

 

第6章では、安全性評価がまとめられています。

6.1 原則

安全性評価は、当該医薬品に対して事前に定義されたSCTを超えるLeachablesの毒性評価に焦点をあてています。

SCTは当該医薬品の投与経路/期間を考慮した上で、変異原性を考慮したTTC(Threshold of Toxicological Concern:毒性懸念閾値)、非変異原性を考慮したQT(Qualification Threshold:適格性閾値)、又は局所毒性閾値のうち、より厳しい値を採用することが必要です。

 

6.2 Leachablesの分類

Leachablesの中でも化合物の毒性によってクラス1からクラス3に分類されています。

 

クラス

ポイント

1

最も毒性の高いクラス1はより低い濃度で管理される必要があります。クラス 1はICH M7で定義された「懸念のあるコホート(Cohort of Concern)」及び、AI(Acceptable Intake:許容摂取量)が1.5 µg/日未満のICH M7クラス1不純物が該当し、さらにBenzo(a)pyrene及びBisphenol Aが挙げられています。

2

クラス2に分類される化合物は中程度の毒性であり、TTC及びQT未満の曝露量である場合に許容される化合物になります。

3

クラス3に分類される化合物は比較的低い毒性であることが確立されており、1 mg/日未満の曝露レベルであった場合、追加の安全性評価は不要とされています。

 

6.3 安全性評価プロセス

AETを超える化合物についての評価プロセスが記載されています。

プロセス

項目

ポイント

1

同定・定量・構造解明

AETを超えるLeachablesは、同定・定量・安全性評価の対象となります。構造が完全に解明できない場合でも、部分的な構造情報があれば、安全性評価に活用できる可能性があり、仮構造でも毒性学的に意味がある場合は評価に使用可能です。

2

安全性評価

評価は、変異原性と一般毒性の両方が対象となります。1日曝露量が1 mgを超えるLeachablesは、ICH Q3A/Q3Bに従い、変異原性試験(例:Ames試験、染色体異常試験)を検討する必要があります。

3

クラス1 Leachablesへの対応

発がん性などの懸念がある化合物は、材料選定段階で回避すべきです。回避できない場合は、より厳しい閾値や仕様を設定し、初期段階から管理する必要があります。

4

TTCを超えるLeachables

TTCを超える場合、ICH M7に従って変異原性評価を行います。変異原性があると判断された場合、TTC以下に管理するか、変異原性試験でリスクを軽減する必要があります。

5

QTを超えるLeachables

QTを超える場合、一般毒性の懸念について評価します。十分な安全性データがある場合は、追加評価不要ですが、データが不十分な場合は、以下いずれかの実施を検討する必要があります。

  • 曝露量の低減(材料変更など)
  • 毒性学的データの新規取得
  • リスク・ベネフィット評価による正当化

6

Read-acrossによる評価

十分なデータがない場合、類似化合物の毒性データを用いた評価が推奨されます。類似性が高く、データが十分であれば、追加試験不要です。

7

NAMs(New Approach Methodologies:新規アプローチ手法)の活用

新たな毒性学的データが必要な場合、in silicoin vitroモデルなどのNAMsの使用が検討されます。NAMsが適切でない場合は、ICH Q3A/Q3Bに記載された従来の毒性試験を実施する必要があります。

 

6.4 局所毒性の懸念

製剤によっては局所毒性の可能性を考慮する必要があります。局所毒性の可能性を考慮する必要がある場合、使用されるSCTは、変異原性を考慮したTTC、非変異原性を考慮したQT、及び局所毒性閾値(該当濃度を最大日曝露量に換算)のうち最も低い値とする必要があります。

 

局所毒性を考慮しないといけない製剤として、以下が挙げられています。

  • 6.4.1 眼科用製剤
  • 6.4.2 脳内、くも膜下、硬膜外投与製剤
  • 6.4.3 皮膚用製剤

また、Leachables自体の感作性に関しても考慮する必要があります。

 

6.5 ICH S9対象製品に関する考慮事項

ICH S9の「不純物の評価」セクションに従って実施することができます。この場合、TTCは適用されず、SCTはQTによって定義されます。

 

6.6 安全性評価の内容

まとめです。以下のLeachablesに対して、安全性評価を実施する必要があるとあります。

  • 検出されたクラス1 Leachables
  • SCTを超えるレベルで検出されたクラス2 Leachables
  • 1.0 mg/日を超えるレベルで存在するクラス3 Leachables

 

第7章では、本ガイドラインで用いられている専門用語の定義がまとめられています。

 

第8章では、本ガイドラインで参照されている文書がリストにまとめられています。

 

Appendixでは、Appendix 1「E&Lリスク評価・管理の典型的なワークフロー」、Appendix 2「E&L試験の種類」、Appendix 3「AETの計算方法」、Appendix 4「Leachablesの毒性分類と評価基準」、Appendix 5「化合物の曝露限度の設定方法」、Appendix 6「Benzo[a]pyrene(BaP)及びBisphenol A(BPA)のPDE設定根拠」についてそれぞれ記載があります。

 

詳細は、原文(英語)をご確認ください。

 

 

2.SUPPORTING DOCUMENTATION: CLASS 3 LEACHABLE MONOGRAPHS

このガイドラインでは、クラス3 Leachablesに分類される以下化合物の個別モノグラフが記載されており、具体的な安全性評価と曝露限界値の算出根拠が記載されています。

  • 2,6-Di-tert-butyl-4-methylphenol(BHT)
  • Erucamide
  • 3-(3,5-Di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) propanoic acid(Irganox 1310)
  • 4-Tert-Amylphenol
  • cis-1,1,5,5-Tetramethyl-2-(1-methylethenyl)-3-(2,2,4-trimethylpentyl)-cyclohexane(Rubber Oligomer C21H40)
  • Common Fatty Acid Leachables(C12-C22)

 

詳細は、原文(英語)をご確認ください。

 

 

ステップ1 開示文書のポイント解説

1.Q3E Concept Paper

本文書では、抽出物・浸出物(Extractables & Leachables)ガイドラインのコンセプトについて、以下の点がまとめられています。

  • 提案された調和活動のタイプ
  • 認識された問題のステートメント
  • 解決すべき課題
  • 提案の背景
  • 専門家ワーキンググループの種類とリソース
  • タイミング

 

ICHは、不純物の多くの側面をカバーするガイドラインを作成してきました。

例えば、医薬品の原薬や製剤の不純物に関するガイドライン(Q3AQ3B)、医薬品の残留溶媒ガイドライン(Q3C)、医薬品の元素不純物ガイドライン(Q3D)、医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドライン(M7)などです。

しかし、ELは、一般的なICH不純物ガイドラインの範囲から除外されていました。

現在、ELの評価と管理に関する国際的に調和したガイダンスは存在しません。

ELに関する明確性の欠如により、業界と規制当局に不確実性をもたらし、医薬品承認申請に遅延を引き起こし、さまざまな解釈にもつながる可能性が懸念されています。最終的には、患者への医薬品の提供の遅れにもつながりかねません。

これらに対処し、申請者と規制当局の双方を支援するため、医薬品の要件の透明性を向上させたE&L不純物に関するガイドラインを作成されることとなりました。

 

解決すべき課題として、以下の点が認識されており、ガイドラインにはこれらのことが盛り込まれると思われます。

  • 整合性のあるELガイダンスフレームワークの欠如
  • ガイダンスの調整の欠如
  • 閾値
  • 安全性評価
  • 制御オプション
  • 既存のICHガイドラインとの整合性
  • 薬局方基準

 

詳細は、原文(英語)をご覧ください。

原文を理解するのに役に立つように、日本語訳資料を作成しました。参考としてご利用ください。

Q3E Concept Paper(日本語訳)

 

2.Q3E Business Plan

本文書では、E&Lガイドラインの事業計画について、以下の点がまとめられています。

  • 課題とコスト
  • 計画
  • プロジェクトが与える影響
  • 事後評価

 

詳細は、原文(英語)をご覧ください。

原文を理解するのに役に立つように、日本語訳資料を作成しました。参考としてご利用ください。

Q3E Business Plan(日本語訳)

 

3.Q3E Work Plan

本文書では、E&Lガイドラインの作業計画について、以下の点がまとめられています。

  • 主要なマイルストーン
  • 特定のタスクのタイムライン

 

主要なスケジュールは、以下の通りです。

  • ステップ1および2a/b サインオフ及び承認:~2024年10月
  • ステップ3および4 最終ガイドラインのサインオフと採択:~2026年10月

 

詳細は、原文(英語)をご覧ください。

原文を理解するのに役に立つように、日本語訳資料を作成しました。参考としてご利用ください。

Q3E Work Plan(日本語訳)

 

 

まとめ

ICH-Q3E E&L試験ガイドラインのステップ1及びステップ2a/bの概要についてまとめました。

ステップ4の最終ガイドラインの採択は、202610月とまだ先ですが、今後、E&L試験を実施する可能性がある方は、動向を注目しておいても良いでしょう。

ステップが進み次第、本技術コラムにて、解説をアップデートしていく予定です。

 

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