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ドイツのPFAS規制の現状は?飲料水や製造工程の規制内容と最新情報

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投稿日:2025年7月4日

ドイツの国旗が風にはためく様子

ドイツはEU加盟国であり、PFAS規制を強化している国の一つです。

日本とは大きく異なる規制を実施しているため、製品の輸出入に関わる企業はPFASの規制内容を把握する重要性が高くなっています。

欧州のPFAS規制の方針を知るうえでも、ドイツの最新動向を知ることは非常に重要です。本記事では、ドイツで実施されているPFAS規制の現状について解説します。

 

INDEX

 

 

PFASが規制される理由

ラボでの分析風景

PFAS(有機フッ素化合物)は、通称「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれており、水・大気・土壌中といった環境に長期間残留する特性を持った化学物質です。

PFASには1万種類以上もの化学物質が分類されており、特にPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)など一部のPFASは、体内に蓄積されると人の健康に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

そのため、日本でも化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)で製造・輸出入の規制などが進められているのが現状です。

PFASについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで

PFAS

 

 

ドイツでPFASを規制する主な法律

ドイツ国旗と木製ガベル

ドイツでは、EUのPFAS規制(REACH規則やPOPs規則など)を国内法の飲料水条例(TrinkwV)や化学物質法(ChemG)に組み込んで実施しています。ここでは、各法律の内容について詳しく解説します。

 

飲料水条例(TrinkwV)

ドイツでは、PFASのうち20種類を対象に、飲料水中の濃度を制限する「飲料水条例(TrinkwV)」を2023年に改正・施行しました。

この法律は、EU飲料水指令(2020/2184)を国内法に反映したもので、人の健康を守ることを目的に飲料水の品質基準を法的に定めたものです。

2023年に行われた改正では、一部のPFASの数値基準が設定されただけでなく、水道事業者に対して定期的なPFASモニタリングの実施と、結果の記録・報告を義務付けている点が特徴です。

基準値を超過した場合には、速やかな原因調査やリスク評価に加え、消費者への情報提供、必要に応じた供給停止や代替措置の検討などが求められます。

 

化学物質法(ChemG)

化学物質法(ChemG)は、化学物質の製造、輸入、販売、使用に関する包括的な規制枠組みを定めた、ドイツ国内における化学物質管理の基本法です。

化学物質法は、EUのREACH規則(化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則)やCLP規則(分類・表示・包装に関する規則)と密接に連携しており、これらを国内法として実施・補完する役割を担っています。

PFASに関しては、REACH規則で指定された高懸念物質(SVHC)への対応や使用に関する制限措置が実施されています。

特に高懸念物質として特定されたPFASについては、製品中への含有や使用の禁止、代替物質の検討に向けた情報提供義務などが課されることになります。

 

 

ドイツで実施されているPFAS規制の内容

水のサンプリング

ドイツでは、主に飲料水中のPFAS濃度に関する規制、PFASの製造・使用に関する規制を行っています。ここでは、各PFAS規制の内容について詳しく解説します。

 

飲料水の規制内容

ドイツの飲料水規制については、PFOSとPFOAについて、それぞれ100 ng/Lという暫定目標値が設定されています。詳細は、以下の表をご確認ください。

 

対象物質 目標値 測定法
PFOS 100 ng/L LC/MS/MS法
DIN 38407-42 (F42)                             
PFOA 100 ng/L

引用:環境省|PFOS、PFOA に係る国際動向

 

ドイツの飲料水中のPFASの計測方法については、主にLC/MS/MS法が推奨されています。この方法は、PFASを極めて低い濃度で高精度に検出できるため、信頼性の高い分析手法とされています。

 

製造・使用等に関する規制内容

ドイツでは、2008年から化学品禁止政令により、PFOSまたはその塩を一定濃度以上含む製品や部材の流通が原則禁止されています。主な規制内容は、以下の通りです。

 

規制開始 2008年
対象 PFOSまたはその塩を0.005 %重量以上含む調剤、0.1 %以上含む製品またはその部品、1 μg/m2以上含む繊維、コーティング剤
適用除外用途 フォトレジスト、反射防止膜、写真フィルム、印刷板、航空機用作動油

引用:環境省|PFOS、PFOA に係る国際動向

 

 

2026年からPFASの飲料水規制を強化

水道からコップに水を灌ぐ

ドイツでは、欧州飲料水指令(EU 2020/2184)の国内法への反映を受け、2023年に新たな飲料水規制が導入されました。

この規制では、2026年から飲料水中の20種類のPFASに対して合計値の目標基準が適用され、2028年には特定の4物質に対してより厳しい基準値が導入される予定です。

 

対象物質 目標値 測定法
PFAS合計(C4〜C13のPFSAおよびPFCAに該当する20種類) 100 ng/L LC/MS/MS法
prEN 17892(ドラフト)
PFAS 4項目(PFOS、PFOA、PFNA、PFHxS) 20 ng/L

引用:環境省|PFOS、PFOA に係る国際動向

※ 測定方法については、欧州規格EN 17892が策定中であり、ドラフト版の(prEN 17892)が参照されています。

 

 

ドイツを含むEU全体でPFAS包括規制が進む

欧州旗と天秤

ドイツを含むEU加盟国の5ヵ国(ドイツ、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク)は、2023年に約1万種類のPFASを対象とする包括的な規制案を欧州化学品庁(ECHA)に提出しました。

この規制案は2025年の欧州委員会による採択が想定されており、施行後は対象PFASの製造、輸入、販売、使用が原則禁止される見込みです。

用途別に最大12年の移行期間が設けられる予定であり、企業はこの期間内に代替物質の導入や使用中止などの対応が求められます。なお、一部の医療機器や半導体製造用途については、例外措置が検討されています。

 

 

ドイツのPFAS規制に関する最新情報を確認

ドイツ市場への進出や取引を検討している企業にとって、現地のPFAS規制を正確に把握することは事業リスクの低減に直結します。

特にドイツは欧州でも先行してPFAS規制を強化している国の一つであり、その動向はEU全体の規制方針を予測するうえで重要な指標となります。

欧州全体におけるPFAS規制の最新動向については、弊社が公開しているホワイトペーパーで詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

 

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第一弾は、EUのPFAS規制を担う主要組織や産業別の影響、最新の規制動向などを
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