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EUのWFD(廃棄物枠組指令)とは?PFAS含有廃棄物の管理方法

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投稿日:2025年7月18日

廃棄物処理場で立つ男性

EUのWFD(廃棄物枠組指令)では、有害廃棄物の処分方法について定めています。そのため、EU加盟国でPFAS(有機フッ素化合物)を取り扱う場合は、WFDの最新動向を確認しておくことが重要です。この記事では、WFDの仕組みやPFAS廃棄物の管理方法、日本への影響についてわかりやすく解説します。

 

INDEX

 

 

WFD(廃棄物枠組指令)とは

印を押す男性

WFD(廃棄物枠組指令)は、EUにおける廃棄物の管理を目的とした法律です。 廃棄物による環境や人の健康への悪影響を防ぐこと、資源を効率的に利用する循環型経済の促進などを目的としています。

 

WFDの仕組みについて

WFDでは、廃棄物の発生を防ぐことを最善の選択肢に設定しているため、廃棄物を埋め立て地に送るのは最後の手段としています。

このことから、廃棄物管理の優先順位を決めた「廃棄物ヒエラルキー」が定められています。廃棄物ヒエラルキーによる廃棄物管理の優先順位は以下の通りです。

 

  1. 防止
  2. 再利用
  3. リサイクル
  4. エネルギー回収
  5. 廃棄

 

また、WFDでは、EPR(拡大生産者責任)の原則を導入しています。これは、製品の設計から廃棄段階まで、生産者が環境に与える影響に対して責任を負うという考え方です。EPRの導入により、リサイクルしやすい製品設計や廃棄物の回収システムなどの構築を促進することを目的としています。

 

加盟国に求められる報告義務と目標達成

WFDでは、各加盟国がリサイクル率や廃棄物発生量の削減目標を達成するための進捗を定期的に報告することが義務付けられています。

これにより、EU全体での循環型経済の実現に向けた取り組みを統一的に把握し、目標達成のための追加措置が必要な国に対しては是正勧告なども行われます。

特に家庭系廃棄物や事業系廃棄物に関して、2025年・2030年に向けたリサイクル目標が設定されており、進捗管理が重要視されています。

 

 

WFDにおけるPFAS含有廃棄物の管理方法

川の側に積み上げられたごみ

WFDは、PFASを直接的に規制する指令ではありません。しかし、有害物質を含む廃棄物については規定されており、PFASがその対象になる可能性もあります。ここでは、WFDとPFAS含有廃棄物との関係性について解説します。

 

PFAS(有機フッ素化合物)とは

PFAS(有機フッ素化合物)とは、耐熱性・撥水性などの特性を持ち、調理器具や防水製品など幅広い分野で使用されている化学物質群です。

近年の研究では人の健康に影響を及ぼす可能性が指摘されており、各国で製品への使用や飲料水などに関する規制が強化されています。

PFASについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

 

【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで

PFAS

 

 

WFDの規制対象となるPFAS

WFDは廃棄物の枠組みや分類に関する規定が定められており、PFASを直接的に規制する内容は記載されていません。

しかし、WFDの規制対象を記載した附属書Ⅲ(Annex Ⅲ)の「生態毒性(HP14)」という分類に、PFASが該当する可能性があります。

この分類に適用されたPFAS含有廃棄物は、一般廃棄物ではなく有害廃棄物として扱われることになり、廃棄物ヒエラルキーに基づいた処理を要求される可能性があります。

 

WFDとその他のEU規制との関連性

WFDは、EU域内における化学物質の製造や使用を直接規制するものではありません。

しかし、廃棄物の処理に関しては有害物質の有無や含有量が廃棄の優先順位に影響する可能性があるため、REACH規則(化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則)や、残留性有機汚染物質を管理しているEU独自のPOPs規則などと連携して、製造工程または原材料にPFASが含まれる製品の規制を強化する一面もあります。

今後EUでPFAS規制が強化されることで、その他の規則・指令と同様にWFDの規定が変更される可能性があります。

 

 

PFAS規制がWFDに及ぼす影響と今後の動向

ゴミ袋を持つ清掃員

1万種類以上の物質が該当するPFASは、別名「永遠の化学物質」とも言われており、一度環境中に放出されると分解されにくく半永久的に残留し続けます。

そのため、PFASを含む製品などの廃棄処理には細心の注意が必要です。ここでは、PFAS廃棄物管理が強化される理由や、今後の見通しについて解説します。

 

PFAS廃棄物の管理が強化される理由

PFASは自然界で分解されにくく、長期間にわたって土壌や地下水に残留する特性があります。さらに、焼却処理ではフッ化水素などの有害ガスが発生する可能性があり、適切な燃焼温度や処理施設を整備する必要があります。

また、埋立処分においてもPFASを含む浸出水が周辺環境に漏出するリスクがあり、排水管理も重要な課題の一つとなっています。

 

今後のPFAS廃棄物規制の見通し

REACH規則を管轄しているECHA(欧州化学品庁)は、2023年2月に1万種類以上のPFASの制限規制案を発表しています。PFAS関連規則の強化が進むことで、WFDにおいてもPFASの規制強化が進む可能性はあるでしょう。

REACH規則やPOPs規則と連携し、PFASの使用制限と廃棄物処理の両面から規制が強化されることになれば、製造・流通に関わる業者等により厳格な対応が求められると予想されます。

 

 

WFDと日本の廃棄物管理への影響

廃棄物処理場を眺める清掃員

EUのWFDは、日本に直接影響を及ぼすものではありません。しかし、EUが取り組むPFAS含有物質の廃棄物管理は、日本の制度にも影響を与える可能性があります。

実際、日本でも廃棄物処理施設や産業廃棄物処分場からPFASが検出される事例も報告されており、PFASの廃棄物処理が問題視されています。

環境省は、WFDの基準やEUの動向を参考に国内基準の見直しを進める可能性があるため、日本企業もEUが取り組む規制強化の流れを注視し、必要に応じて自社の廃棄物処理や化学物質の管理体制を見直すことが重要です。

 

【関連記事】POPs(残留性有機汚染物質)とは?対象物質や規制内容について解説

工場の煙

 

 

 

WFDの最新動向を確認しましょう

WFDは、EUでの廃棄物管理を目的とした法律です。PFASを含む有害廃棄物の適正管理が求められていますが、直接的にPFASを規制するものではありません。しかし、EUではREACH規則のPFAS規制強化などが進んでいることから、今後WFDが見直される可能性もあります。WFDの最新動向を確認して、今後の対処法を検討していきましょう。

 

 

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記事の監修者

品質保証グループ

ユーロフィン日本環境株式会社 品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

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