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PFASはどのような製品に使用されていた?代表的な使用例を紹介

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投稿日:2024年9月6日

精密機器

PFAS(有機フッ素化合物)の中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)の3種類の化学物質は、利便性の高さから多くの業界で製品製造に使用されてきました。しかし、現在では環境や人体への影響を考慮して、これらの化学物質は原則的な製造と使用が禁止されています。この記事では、過去にどのような製品にPFASが使用されていたのか、PFAS含有製品の具体例について紹介します。

 

INDEX

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)とは?

1万種類以上の有機フッ素化合物は、総称してPFAS(ピーファス)と呼ばれています。その中でも環境への影響が大きいのが、PFOSやPFOAです。また、PFOS・PFOAの代替品として活用されてきたPFHxSにも同様の影響があると考えられ、PFOS・PFOAと同様に規制の対象となっています。

 

規制されている有機フッ素化合物

現在、PFOS・PFOA・PFHxSの3種類の化学物質は、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の附属書Aに記載されており、国際的な製造と使用が原則的に禁止となっています。

PFOS・PFOAに関しては、日本国内において飲料水における暫定目標値が設定され、規制の範囲が拡大しつつあります。現在までの規制動向は、以下の通りです。

 

西暦 化学物質 規制内容
2009年 PFOS POPs条約 附属書Aに追記。国際的に原則的な製造と使用が禁止
2009年 PFOS 化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)にて、日本国内での原則的な製造と使用が禁止
2019年 PFOA POPs条約 附属書Aに追記。国際的に原則的な製造と使用が禁止
2020年 PFOS・PFOA 環境省により、日本国内における飲料水の暫定目標値が設定
2021年 PFOA 化審法にて、日本国内での原則的な製造と使用が禁止
2023年 PFHxS POPs条約 附属書Aに追記。国際的に原則的な製造と使用が禁止
2024年 PFHxS 化審法にて、日本国内での原則的な製造と使用が禁止

 

 

工業製品等に含まれるPFASの代表例

工場の風景

PFASの中でも、PFOS・PFOAは特に工業製品等で多く使用されてきました。その具体的な用途について紹介します。

 

半導体の部品

半導体の製造には、PFASが多く使用されてきました。代表的な用途は、半導体の反射防止剤、エッチング剤、ウエハー上に回路パターンを転写するためのフォトレジストなどで、主にPFOAが使用されました。

このうち、フォトレジストとエッチング剤の一部は、代替品の開発に時間が必要なことから、例外用途として2017年までPFOAの使用が認可されていました。現在は他のPFASが代替物質として使用される事例もあります。

 

製品製造時の添加剤

製品の添加剤としては、主にPFOSが使用されてきました。その用途は、航空用の油圧作動油・プラスチックなどの樹脂製品・塗料など、多岐にわたります。現在はPFASを含まない代替物質や、PFOS以外の化学物質が使用されています。

 

表面処理剤

PFOSは、カラープリンター、カラーコピー機などの電気電子部品の表面処理にも使用されてきました。また、金属メッキも同様です。現在は新技術の開発により、PFOSの使用は廃止されています。

 

 

日用品に含まれるPFASの代表例

靴にスプレーを掛ける

日用品に含まれるPFASも多岐にわたります。主な使用用途は、製品の防水性や耐油性の向上です。実際にどのように使用されているのか、代表的な製品の例を紹介します。

 

フライパン

フライパンには、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)というフッ素樹脂がコーティングされている製品があります。PTFEはPFASの一種ですが、PFOS・PFOAとは異なり、人体に対する有害性はありません。

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)の消費者向け情報ページ「焦げ付き防止コーティング調理器具に関するQ&A」では、フッ素加工のフライパンを含むコーティング調理器具について、以下のように結論づけています。

 

“はがれ落ちたコーティングの薄片を飲み込んだとしても、体に吸収されず体内をそのまま通過し、体内でいかなる毒性反応も引き起こさないため、体に有害な影響はない。”

出典:ファクトシート(フッ素樹脂) |食品安全委員会

 

また、以前はPTFEを製造する過程の添加剤としてPFOSが使用されていましたが、現在は代替物質に置き換えられています。

 

撥水スプレー

PFASの中でもPFOAは優れた撥水性を持つため、撥水スプレーや防水スプレーにも使用されていました。現在はフッ素フリーの代替物質に置き換えられています。

 

カーペット

カーペットには、耐水性・耐油性の向上、表面の防汚・防水を目的としてPFOAが使用されていました。現在は、別のPFASが代替物質として使用されています。

 

食品の包み紙

ファーストフードの包み紙や箱には、耐水性や耐油性の向上を目的にPFASが使用されています。以前はPFOAが使用されていましたが、現在はフッ素フリーの材料や別のPFASである「6:2 FTOH」に置換されています。

このうち「6:2 FTOH」などを含めたPFASに対して、世界的なファーストフード企業などは脱PFASを宣言しています。

 

 

各メーカーが有機フッ素化合物の代替品開発に着手

有機フッ素化合物の規制は徐々に拡大しています。その規制に対して、各メーカーは、PFOS・PFOA・PFHxSなどの代替物質を開発。さらに、将来的なPFAS規制の広がりを予測し、PFAS以外の代替物質の使用に着手している企業もあります。今後PFASの代替品開発はさらに加速すると予想されるため、各メーカーの動向やPFAS関連のニュースに注目しましょう。

 

 

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記事の監修者

ユーロフィン・プロダクト・テスティング株式会社 代表取締役 金子 貴義

ユーロフィン・プロダクト・テスティング株式会社
代表取締役 金子 貴義

<経歴>

大学卒業後、環境調査・検査業界に15年余従事、2015年より現ユーロフィン・プロダクト・テスティング株式会社にて工業製品の環境負負荷物質管理に携わったのち、2019年よりPFAS等化学物質や食品包装等の海外法令調査・コンサルティングの実施、および管理に従事。

 

 

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