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GHSとは?JIS規格との関係とPFASを扱う企業が守るべき義務

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投稿日:2025年12月25日

GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の概要

GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)は、化学品を取り扱う事業者が国際的に遵守すべき統一された表示ルールを指します。

一方で、具体的な分類や表示の基準がわからず、対応に迷う企業担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、GHSの基本的な表示ルールやJIS(日本産業規格)との関連性、PFAS(有機フッ素化合物)などの化学物質を扱う企業が理解しておくべき義務と留意点について解説します。

 

INDEX

 

 

GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)とは

GHSの定義と目的を説明する図

GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)は、「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム」の略称です。

ここでは、GHSの目的やJISとの関連性など基本的な内容について解説します。

 

GHSの役割と目的

GHSは、化学物質または混合物が持つ危険有害性(ハザード)ごとに分類基準を設け、ラベル表示やSDS(安全データシート)の内容を世界的に統一する仕組みです。

2003年7月に国際連合から勧告され、日本を含む各国で導入が進められています。

GHS導入の主な目的は、化学品の製造事業者間で統一された分類・表示基準を確立し、販売業者や消費者などが化学品の危険性と有害性をより正確に理解できるようにすることです。

GHSにより、化学品を適切に取り扱い、誤使用による事故や健康被害を最小限に抑えることが可能になります。

 

GHSとJIS(日本産業規格)との関連性

日本におけるGHSの運用は、日本産業規格(JIS)に基づいて行われており、化学物質や混合物を危険性・有害性に応じて分類する制度「JIS Z 7252」と、分類結果を容器ラベルやSDS(安全データシート)で伝える表示制度「JIS Z 7253」が具体的に規定されています。

JIS規格では、化学品を物理化学的危険性、健康に対する有害性、および環境に対する有害性の3区分に分類する方法を定めています。

また、国際的な整合を図るため、国連GHS文書の改訂に合わせてJIS規格も随時改訂される仕組みになっています。

関連事業者が国内で化学品を取り扱う場合には、これらのJIS規格に基づいて分類・表示を適切に実施することが求められます。

 

 

GHSの分類

GHS分類の危険有害性クラス一覧

GHSの運用において、化学品の分類を行うJIS規格である「JIS Z 7252」では、化学品の危険有害性を合計29の危険有害性クラスに分類する基準が整備されています。

危険有害性クラスは、物理化学的危険性17項目、健康に対する有害性10項目、環境に対する有害性2項目に区分されます。各項目は以下の通りです。

 

危険性・有害性 危険有害性クラス
物理化学的危険性 1.爆発物
2.可燃性ガス
3. エアゾール
4. 酸化性ガス
5. 高圧ガス
6. 引火性液体
7. 可燃性固体
8. 自己反応性化学品
9.自然発火性液体
10.自然発火性固体
11.自己発熱性化学品
12.水反応可燃性化学品
13.酸化性液体
14.酸化性固体
15.有機過酸化物
16.金属腐食性化学品
17.鈍性化爆発物
健康に対する有害性 18.急性毒性
19.皮膚腐食性/刺激性
20.眼に対する重篤な損傷/刺激性
21.呼吸器または皮膚感作性
22.生殖細胞変異原性
23.発がん性
24.生殖毒性
25.特定標的臓器毒性(単回ばく露)
26.特定標的臓器毒性(反復ばく露)
27.誤えん有害性
環境に対する有害性 28.水生環境有害性
29.オゾン層への有害性

引用:GHS分類の基本|CERI

 

GHSの分類作業は、以下の手順で実施されます。

1.関連データの特定
化学品に関する既存データ(毒性試験結果など)を整理する。

2.危険有害性の確認
対象化学品が該当するハザードクラスを特定する。

3.分類基準との照合
国連GHS文書またはJIS Z 7252の基準とデータを比較し、危険有害性クラスおよび区分を決定する。

分類の結果、付与される区分の数字が小さいほど危険性・有害性が高いと判断されます。

 

 

GHSマーク(ピクトグラム)の表示ルール

「JIS Z 7252」に基づいて危険有害性クラスの分類が行われた後は、「JIS Z 7253」で定められた基準に沿って、ラベルやSDSに必要な情報を表示します。

ラベル表示の中心となるのが、危険有害性を視覚的に示す9種類のGHSピクトグラム(絵表示) です。これらの絵表示は、化学品の容器や包装に共通の形式で表示されており、危険性の種類を直感的に理解する目的で使用されています。

※ピクトグラムは、赤い菱形の枠線に黒いシンボルを組み合わせた国際共通のデザインが採用されています(危険有害性の種類や区分により、表示される絵表示が異なります)。

 

絵表示・名称 概要
爆弾の爆発のピクトグラム
爆弾の爆発
火薬類
自己反応性化学品
有機過酸化物
炎のピクトグラム
可燃性・引火性ガス
可燃性・引火性エアゾール
引火性液体、可燃性固体
自己反応性化学品
自然発火性液体、自然発火性固体、自己発熱性化学品、水反応可燃性化学品、有機過酸化物
円状の炎ピクトグラム
円上の炎
支燃性・酸化性ガス
酸化性液体
酸化性固体
ガスボンベのピクトグラム
ガスボンベ
高圧ガス
感嘆符のピクトグラム
感嘆符
急性毒性(区分4)、皮膚腐食性・刺激性(区分2)、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性(区分2A)、皮膚感作性、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)(区分3)
どくろのピクトグラム
どくろ
急性毒性(区分1-3)
腐食性のピクトグラム
腐食性
金属腐食性物質
皮膚腐食性・刺激性(区分1A-C)、眼に対する重篤な損傷・眼刺激性(区分1)
健康有害性のピクトグラム
健康有害性
呼吸器感作性、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)(区分1-2)、特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)、吸引性呼吸器有害性
環境のピクトグラム
環境
水性環境有害性

出典:厚生労働省「化学物質:GHSのシンボルと名称」

 

これらの絵表示は、「JIS Z 7252」に基づく分類結果に応じて、該当する全てのピクトグラムをラベル上に表示する必要があります。

また、ラベル表示の構成要素については、「JIS Z 7253」に基づき、次の項目を組み合わせて表示することが定められています。

 

  • 化学品の名称
  • 危険有害性絵表示(GHSピクトグラム)
  • 注意喚起語(Danger/Warning)
  • 危険有害性情報(H文:Hazard Statements)
  • 注意書き(P文:Precautionary Statements)
  • 供給者の名称・住所・電話番号
  • その他補足情報

 

分類結果は、ピクトグラムや注意喚起語、H文・P文といった表示要素と組み合わせることで、初めて現場作業者や管理者にとって分かりやすい情報になります。そのため、事業者は両方の規格に基づき、適切に分類と表示を行う必要があります。

出典:化管法・安衛法・毒劇法における ラベル表示・SDS提供制度|厚生労働省

  

 

PFASのGHS分類における留意点

試験管にピボットで液体を落とす様子

PFASは多様な用途で利用される化学物質であり、近年ではその安全性が国際的に注目されています。

GHSおよび国内運用を担うJISでは、化学品の分類手順や判断基準が定められており、特定の物質名を列挙する仕組みではありません。

このため、JISにPFASの一覧が掲載されているわけではありませんが、有害性データが確認された物質は、GHS分類の対象となる可能性があります。

PFASについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

 

【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向までPFAS

 

PFASが規制対象となる理由

PFASは、炭素とフッ素の結合による極めて高い化学的安定性を持ち、環境中で分解されにくいことが知られています。

そのため、一度排出されると長期間にわたり環境中に残留しやすく、また一部の物質は生体内にも蓄積していきます。

こうした性質により、地下水や生態系を通じて広く拡散する懸念があり、国際的には難分解性・高蓄積性・長距離移動性を理由に規制強化が進められています。

PFASの特性は水生環境への有害性や健康影響に関するGHSの危険有害性クラスに該当し得るものであり、GHS分類の上でも注意が必要な物質群とされています。

 

JISの対象となるPFAS

JISの対象となる可能性があるPFASは、GHSの「水生環境有害性(長期)」の評価が特に重要です。ここでは、代表的なPFASのGHS分類をご紹介します。

 

物質名 GHS分類
PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸) 【健康に対する有害性】
急性毒性 (経口) 区分3
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) 区分4
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
発がん性 区分2
生殖毒性 区分1B
授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) 区分1 (肝臓、免疫系)

【環境に対する有害性】
水生環境有害性 短期(急性) 区分2
水生環境有害性 長期(慢性) 区分2

PFOA(ペルフルオロオクタン酸) 【健康に対する有害性】
急性毒性 (経口) 区分4
皮膚腐食性/刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1
発がん性 区分2
生殖毒性 区分1B 授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) 区分1(肝臓、免疫系)

【環境に対する有害性】
水生環境有害性 短期(急性) 区分3

PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸) 【健康に対する有害性】
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) 区分2(鼻腔)

【環境に対する有害性】
水生環境有害性 短期(急性)
水生環境有害性 長期(慢性)
※区分値は示されておらず、評価対象項目としてのみ記載

PFNA(ペルフルオロノナン酸) 【健康に対する有害性】
生殖毒性 区分1B 授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) 区分1(肝臓、免疫系)
PFDA(ペルフルオロデカン酸) 【健康に対する有害性】
急性毒性 (経口) 区分3
生殖毒性 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) 区分1(免疫系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) 区分1(肝臓、免疫系)

【環境に対する有害性】
水生環境有害性 短期(急性)
水生環境有害性 長期(慢性)
※区分値は示されておらず、評価対象項目としてのみ記載

引用:職場のあんぜんサイト|厚生労働省

 

 

GHS分類で事業者に求められること

GHS分類で事業者に求められること

GHS分類を行う際は、自社が保有する信頼性の高いデータを優先的に用い、情報が不足している場合は専門家の判断や助言を得ることが重要です。

分類結果に基づき、危険有害性が認められた化学品については、ラベル表示やSDS(安全データシート)を通じて適切に情報を伝達することが求められます。

また、国内では労働安全衛生法によるラベル・SDS交付義務、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)による排出量の届出義務、さらに化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)による製造・輸入前の審査など、関連法令に基づく管理体制が整備されています。

これらの制度はいずれも、GHS分類を基礎とした化学物質管理を実現するための重要な枠組みです。

 

SDSに基づいたラベル表示

GHS分類の結果、化学品がいずれかの危険有害性クラスに該当すると判定された場合、その情報はラベル表示やSDSを通じて適切に伝達する必要があります。

SDSは化学品を安全に取り扱うための基礎資料であり、化学物質名、危険有害性、安全上の措置、応急処置、保管方法などの情報を網羅しています。

化学品の取引時には、供給側から受取側へSDSを提供することが求められ、危険有害性や適切な取り扱い方法を正確に伝える役割を担います。

国内では、労働安全衛生法などに基づき、危険有害性を有する化学品に関して、SDSの交付やラベル表示を行う義務が事業者に課されています。

 

PFASを扱う企業の注意点

厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」では、代表的なPFAS(PFOS、PFOAなど)のGHS分類が公開されています。

PFASを取り扱う事業者は、自社の責任で分類結果を確認し、ラベル表示やSDSなどを通じて、最新かつ正確な危険有害性情報を適切に共有することが求められます。

特にPFASは混合物や輸入製品に微量含まれるケースが多く、成分情報の不明確さがリスク管理上の課題となるため、取引先やサプライヤーからの情報確認を徹底し、含有量や用途を把握しておくことが重要です。

近年では、欧州を中心に1万種類以上のPFASを包括的に規制する動きも進んでおり、代替物質の検討や使用実態の把握など、将来的な対応も見据えた自主的な取り組みが求められます。

事業者は国内外の法改正や科学的知見の更新を継続的に確認し、リスクコミュニケーションを強化していくことが望まれます。

 

 

GHSマークの記載には正確なPFAS測定が必要

PFASのGHS分類に関する注意点を示す図

GHS分類は、化学品を製造・販売する事業者の責任において実施され、その結果に基づきラベルやSDSを通じて危険有害性を伝達する仕組みです。

PFASを扱う事業者にとっては、わずかな含有量の差が分類結果に影響する場合もあるため、より精度の高い判断が求められます。

GHSマークなどの情報伝達の信頼性を確保するには、分類の根拠となるPFAS規制物質の正確な含有量測定と、信頼性の高いデータ評価が欠かせません。

正確な分類と適切な情報伝達を行うために、専門的なPFAS分析サービスを活用し、企業のコンプライアンス体制と安全管理を強化していくことが重要です。

 

  

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記事の監修者

品質保証グループ

ユーロフィン日本環境株式会社 品質保証グループ

受託分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

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