JavaScript is disabled. Please enable to continue!

Mobile search icon
PFAS MEDIA >> PFAS解説書 >> PFAS,マップ

PFAS汚染マップは公開されている?環境省の調査結果と全国の実態

Sidebar Image

投稿日:2025年2月27日(2026年4月2日更新)

採水

 

【この記事のポイント】

  • 環境省の公表データで地域のPFAS検出状況を確認できる

  • 2025年12月に水道水で最新の調査結果が公開された

  • 現状の公的調査はPFOS・PFOAが中心で調査の範囲は限定的

 

PFAS(有機フッ素化合物)は、国際的に規制強化が進む残留性有機汚染物質の一つです。

日本国内においても、水道水の暫定目標値を上回るPFASが各地で報告されており、生活圏や事業拠点の周辺状況を把握したいというニーズが高まっています。

本記事では、環境省などが公開している情報を整理し、PFAS汚染マップに該当する資料の見つけ方と確認のポイントを解説します。

なお、本記事で定義する「PFAS汚染マップ」は、全国で統一された単一の地図を指すものではありません。国や自治体が実施したPFAS調査結果をもとに、地域ごとの検出状況を把握するために公開されている資料やデータを便宜上まとめて指す総称です。

 

INDEX

 

国内のPFAS汚染マップはどこで確認できる?

調査員による採水

まず前提として、国内に「PFASマップ」という単一の全国マップや、全国の状況を一度に把握できる調査データが整備されているわけではありません。

地域ごとにPFASの検出状況を把握するには、環境省が公開している調査データを起点に確認するのが有効です。

まずは以下の3点を押さえておきましょう。

 

PFOS、PFOAの国内の検出状況

2023年1月に実施された「PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第1回)」で、環境省が公表した会議配付資料です。

公共用水域等の水質測定(常時監視)と、有機フッ素化合物全国存在状況調査の、2022年までの結果が整理されており、全国の検出状況を確認できます。

該当資料:PFOS、PFOA の国内の検出状況
会議資料の一覧:PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第1回)議事次第・配付資料 | 水・土壌・地盤・海洋環境の保全

この資料は、全国のPFAS検出の全体像を把握するのに有効です。

 

有機フッ素化合物全国存在状況把握調査結果一覧

2021年6月22日の報道発表に添付された地点別一覧の資料で、排出源となり得る施設周辺等を対象とした全国存在状況把握調査(令和2年度)の結果を確認できます。

2020年までのデータですが、都道府県別・地点別に追いやすく、地域の状況を具体的に把握する際に有用です。

報道発表:令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査の結果について
結果一覧:有機フッ素化合物全国存在状況把握調査結果一覧

 

水道におけるPFOS及びPFOAに関するフォローアップ調査

水道分野の最新動向を把握するには、環境省・国土交通省が共同で実施し、2025年12月25日に公表されたフォローアップ調査を起点に確認するのが有効です。

本調査は、2024年10月1日以降の水質検査結果等について、水道事業者等から集めた年度ごとの最大濃度報告を取りまとめたものです。

なお、環境中(公共用水域・地下水等)の調査とは目的・対象・集計方法が異なるため、説明や判断の根拠に活用する場合、あくまで水道水の調査結果として分けて考えることが重要です。

該当資料:水道におけるPFOS及びPFOAに関するフォローアップ調査

 

PFASの性質や規制動向など前提知識が必要な場合は、以下もあわせてご参照ください。

 

 【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで

PFAS

 

 

全国的なPFAS汚染調査の状況

調査員による採取

ここでは、環境中(公共用水域・地下水等)を対象に、国がどのような枠組みでPFASの汚染状況を把握しているかを整理します。
環境中に関する全国規模の調査枠組みは、大きく次の2つに整理できます。

 

(1)有機フッ素化合物全国存在状況把握調査

環境省が主導する調査であり、排出源となり得る施設周辺等を含む地点で、PFOS・PFOAがどの程度検出されているかを確認できます。

水環境におけるPFOS及びPFOAの存在状況を全国規模で把握する目的で実施されており、これまで2019年と2020年に調査が行われています。

 

(2)公共用水域等水質測定(常時監視)

こちらは自治体主導の調査で、公共用水域や地下水における水質の状況を、自治体の計画に基づき継続的に測定した結果がわかります。

水質汚濁防止法に基づき、都道府県および同法で定められた市が公共用水域・地下水の水質汚濁の状況を常時監視し、その測定結果を都道府県が取りまとめて環境省へ報告します。

2020年以降、水環境におけるPFOS及びPFOAの暫定目標値(50 ng/L)が示されたことを受け、PFOS・PFOAについても測定・報告が行われています。

 

 

水道事業者による定期測定も実施

 水道水基準改正の前後

国内のPFASに関する公開情報は、環境中(公共用水域・地下水等)を対象とした調査だけではありません。

水道分野では、各水道事業者等が水質管理の一環として、水道水中のPFOSおよびPFOAを継続的に測定しています。
これまで水道水は「PFOSおよびPFOAの合算値で50 ng/L」を暫定目標値として運用されており、法的基準というよりも水質管理上の目安として扱われてきました。

2026年4月1日からは、環境省が公表した省令により、暫定目標値から基準値へ移行します。これに伴い、水道事業者等には、PFOSおよびPFOAに関する水質検査を「おおむね3か月に1回以上」実施し、その結果を報告する運用が求められる予定です。

 

水道水について詳しい情報を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

 

【関連記事】日本の水道水の安全性は?国内のPFAS汚染状況と暫定基準値を確認しよう

飲料水

 

 

2026年最新の水道水のPFAS調査結果

PFAS検出状況マップ

水道分野では、環境省と国土交通省が共同で実施した「水道におけるPFOS及びPFOAに関するフォローアップ調査」の結果が、2025年12月25日に公表されました。

水道水に関するPFAS情報として、比較的新しい動向を把握できる公表資料です。

公表情報によると、2025年8月時点では、暫定目標値(PFOS及びPFOAの合算値で50 ng/L)を超過した事業所が19事業ありました。一方で、2025年12月時点の最新結果では、そのうち18事業が暫定目標値を下回る水準まで改善しています。

残る1事業については、応急的な対応が検討されており、今年度中に対策が実施される予定です。

 

 

過去国内で発生した高濃度PFAS汚染の事例

国や自治体の公表資料では、暫定目標値(PFOS・PFOA合算 50 ng/L)を大きく上回る濃度が検出された事例も報告されています。

ここでは、検出状況と影響範囲、自治体の対応が分かりやすい事例を紹介します。

 

さいたま市:事業所敷地内の湧水で高濃度検出

さいたま市の公表によると、2024年11月6日に実施した調査で、浦和区内の一部事業所敷地内にある湧水(地下水)から、PFOS・PFOA合算で18,000 ng/L(暫定目標値の360倍)が検出されました。

また、当該湧水が天王川雨水幹線に放流されていたことも示されています。

一方で、市は追加調査を実施し、雨水幹線周辺に位置する浄水場の水道水および水道水源の井戸水は暫定目標値を下回っていることを確認しています。当該事業所にPFOS・PFOAの使用実績はなく、現時点で原因とは考えていない旨も記載されています。

 

市原市:平蔵川周辺で井戸調査を実施

千葉県市原市の公表によると、環境省の全国存在状況把握調査で平蔵川下流(雷橋)から指針値を超える128.6 ng/Lが検出されたことを受け、市は令和3年度から継続的な水質監視調査を実施しています。

その後、令和5年度に540 ng/L、令和6年度(5月に前倒し実施)の調査では2,300 ng/Lが検出され、指針値を大きく上回る状況が報告されています。

 

石川県・白山市:化学工場敷地内地下水で極めて高い値

2026年2月の石川県の公表によると、白山市内の化学工場の敷地内地下水から、PFOS・PFOA合算で最大99,600 ng/Lという高い値が検出されました。

当該工場では2003年以前にPFOSの製造実績がある旨が示されており、過去の蓄積が影響している可能性も指摘されています。自治体は周辺の井戸水について、検査結果が確認できるまで飲用を控えるよう呼びかけています。

 

 

PFAS分布マップの正確性と公共調査の限界

水 PFAS

国や自治体が公表する公共用水域・地下水・水道水の調査結果は、地域の検出状況を把握するうえで有用です。一方で、調査対象となる物質や調査の枠組みには限界があるため、公開データだけでPFAS全体の汚染状況を網羅的に把握できるわけではありません。

公表されている調査結果は、現状ではPFOS・PFOAを中心に整理されているケースが多く、その他のPFASは同じ粒度で確認しにくい点に注意が必要です。

一例として、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)は、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の附属書Aに掲載され、国内でも第一種特定化学物質に位置づけられています。一方で水道分野では、現時点で目標値は設定されておらず、要検討項目として知見を収集する段階にあります。

また、PFOS・PFOA以外のPFASについては、水道分野で要検討項目として扱う物質の追加が示されています。今回すでに要検討項目となっているPFHxSは据え置きとし、これに加えて7物質が要検討項目に追加される予定です。

今後は国内でPFOS・PFOA以外のPFASが規制対象となる可能性もあるため、特定の物質や事業所周辺の状況など、より踏み込んだ確認が必要な場合は追加の調査手段も検討するとよいでしょう。

 

 

PFASマップに関するQ&A

最後に、PFASマップに関して企業担当者から問い合わせの多い項目を、Q&A形式にまとめて紹介します。

 

最新のPFASマップや調査データの調べ方は?

最新情報を効率的に把握するには、各省庁が公表している報道発表、会議資料、調査結果一覧などを一次情報として確認することが重要です。

とくに環境中(公共用水域・地下水等)の状況は、環境省の関連ページに情報が集約されているため、まずは該当のページを起点に、年度別の資料や更新情報を追う方法が有効です。

以下の環境省のPFAS関連ページは、お知らせ欄に更新情報が掲載され、関連資料にもアクセスしやすいため、定期的に確認しておくことを推奨します。

資料一覧ページ:有機フッ素化合物(PFAS)について | 環境省

 

PFASマップにおける「検出」と「超過」の違いは?

「検出」と「超過」はいずれも測定結果に関する用語ですが、意味は異なります。

判断の前提として、測定の下限や分野ごとの目標値・基準値を切り分けて確認しましょう。

検出:分析の結果、検出下限または定量下限を上回り、物質の存在が確認された状態
超過:測定値が、国の示す目標値・基準値を上回った状態

※何をもって検出と扱うかが資料によって異なる場合があるため、図表の注記や測定条件も併せて確認することを推奨します。

 

特定地域のPFAS検出情報を調べる方法は?

特定地域の状況を確認する場合は、国の公表資料で全体像を把握したうえで、都道府県・市区町村の公表情報をリサーチする手順が確実です。

調査の対象によって所管部署や公表場所が分かれるため、環境中(河川・地下水等)か、水道水かを先に切り分けて探すことを推奨します。

確認手順の目安は、以下の通りです。

1. 国の資料で都道府県・流域・事業者に関係しそうな記載があるかを確認
2. 自治体の公式サイトで、PFAS、PFOS、PFOA、有機フッ素化合物などのキーワードを検索
3. 公表資料の更新日を確認し、最新版を優先して内容を確認
4. 数値を扱う資料の場合、採水地点、対象物質、測定期間、評価の前提までセットで確認

  

PFASが健康に及ぼす影響は?

PFASは環境中で分解されにくく、体内に残留しやすい性質があるため、長期ばく露との関連が指摘される健康影響があります。

具体的には、血清ALT値や総コレステロール値の変化、免疫応答への影響、出生時体重との関連、発がん性などが論点として挙げられています。

一方で、どの程度の摂取量・ばく露量で、どの程度の影響が生じるかといった条件は未解明の点も多く、個別の数値だけで健康影響を断定することは適切ではありません。

健康影響の論点や国内外の評価の整理は、以下の記事で詳しく解説しています。

 

【関連記事】PFASが人体に及ぼす影響は?健康リスクや国内の汚染事例

悩む女性

 

 

PFASマップで検出・超過エリアを把握する重要性

PFASは環境中で分解されにくい性質があるため、ひとたび河川や地下水などへ移行すると、長期にわたり影響が残る可能性があります。

事業所等の周辺で検出が報告されている場合は、取水や排水の状況、周辺環境との関係を含めて状況を把握しておくことが重要です。

国内の検出状況を確認するうえでは、国や自治体が公表している調査結果を起点に、検出地点や数値、調査対象、測定条件を整理することが有効です。

インターネット上の二次情報は解釈が省略されている場合もあるため、社内で根拠として扱う際は、省庁の公表資料など信頼できる一次情報に遡って確認することを推奨します。

なお、公的調査で扱われる対象物質はPFOS・PFOAが中心であり、PFHxSを含むその他のPFASについては、公開データから把握できる範囲が限られる点にも注意が必要です。

公表データだけでは判断に必要な情報が不足する場合は、より詳細な分析や調査について専門機関に相談することも検討するとよいでしょう。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析については

こちらからお問い合わせください

お問い合わせ

 

 

記事の監修者

品質保証グループ

ユーロフィン日本環境株式会社 品質保証グループ

受託分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。

 

 

関連記事

国内外のPFASモニタリングの状況は?水道水や食品の公的な調査結果

日本の水道水・環境水・食品のPFASモニタリング最新結果を整理。基準値に対する超過状況や、海外動向までわかりやすく解説します。

蛇口から出る水道水

水道法の水質基準とは?2026年のPFAS規制見直しと企業の対応

水道法の水質基準をわかりやすく解説。PFAS(PFOS・PFOA)は2026年に水質基準項目へ。改正内容と企業が準備すべき対応ポイントを整理。

環境省

環境省のPFAS対策とは?受託企業における取り組みを詳しく解説

環境省が進めるPFAS対策を解説。水道基準や指針値の改正、実証事業に採択された受託企業の取り組みも紹介。

 

 

PFAS MEDIA TOPに戻る→


【参考資料】