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PFOAの含有調査・分析の必要性とは?製品・土壌・水質における分析法例

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投稿日:2024年7月24日

ビルと虫眼鏡

POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の第9回締約国会議で追加掲載され、2019年より原則的な製造と使用が国際的に禁止されているPFOA(ペルフルオロオクタン酸)。その規制へ対応するために、製造業・環境業などを中心にPFOAの含有を確認するための調査・分析が多く行われています。なぜ、PFOAの含有調査・分析が必要なのでしょうか。そして、含有分析にはどのような種類があるのでしょうか。この記事ではPFOAの含有分析の必要性や、分析法の代表例について解説します。

 

INDEX

 

 

PFOAの含有調査・分析が求められる理由

PFOAの含有調査・分析が多い業界の一つが製造業です。その理由には、EUの化学品規則であるREACH規則の影響があります。REACH規則では、製品に含まれるPFOAの閾値が規定されています。もし0.1 重量%超の認可対象物質を含有する製品を製造・輸入する場合、安全に利用できる条件等の情報を伝達する必要があります。メーカーやサプライヤーは、製品の部品や原料に含まれる認可対象物質の含有量を把握し、超過した場合に申請もしくは対策を取るために含有調査を実施する必要があります。

製造工程や材料におけるPFOAの使用は禁止されていますが、コンタミネーションなどの影響で製品内にPFOAが含まれる可能性はあります。そのため、完成品・部品においてPFOAの含有分析が行われています。

 

PFOAが規制された経緯

化学的に安定性の高いPFOAは製造業を中心に広く使用されてきました。しかし、PFOSなどのPFASが環境に長く滞留する懸念が明確になったことから、2010年代以降に規制に向けた動きが国際的に活発になりました。2019年にはPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)の附属書AによりPFOAが規制物質に追加され、原則的な製造と使用が禁止になりました。

 

PFOAの含有調査・分析が求められる業界

PFOAの含有分析が求められる業界として、製造業が挙げられます。その範囲は広大であり、樹脂・部品・完成品を製造するメーカーや商社など、産業の上流工程から下流工程まで含有分析が行われています。その理由の一つが、欧州で定められているRoHS指令やREACH規則への適合です。

PFOAを含むPFAS(有機フッ素化合物)の製品への規制値以下であることに適合する必要があるため、裾野の広い製造業では部品ごとの含有分析が多く求められています。

 

 

製品におけるPFOAの含有調査・分析

スポイトと三角フラスコ

ここでは、製品におけるPFOAの含有調査・分析について、使用される機会の多い分析法を紹介します。

 

LC-MS/MS法

LC-MS/MS法は、化学物質の含有量を調査するために用いられる機会の多い手法です。PFOS・PFOAの含有量を調査するためにも用いられます。分析可能な化学物質の一例は、PFOAを含めたPFCAの13種類、PFOS・PFHxSを含めたPFSAの7種類、またその前駆体などです。

 

燃焼イオンクロマトグラフ法によるPFASスクリーニング試験

燃焼イオンクロマトグラフ法によるPFASスクリーニング試験は、国際的なメーカーの意向により電子製品における製品中のハロゲンを分析するために用いられてきた試験方法です。公的な手法ではありませんが、関連物質も含めたPFASの規制値が設定されているREACH規則などへの適応有無を調査するために使用されています。PFOS・PFOAを燃焼させることでフッ素にするため、関連化合物を含めた総フッ素含有量として分析することが可能です。

 

 

土壌におけるPFOAの含有調査・分析

土壌におけるPFOAの含有調査・分析徐々に需要が拡大しています。ここでは一例として、どのような分析法が用いられているのかを解説します。

 

【国内】土壌中のPFOS・PFOA・PFHxSに係る暫定測定方法

土壌中のPFOS・PFOA・PFHxSに係る暫定測定方法は、土壌におけるPFOS・PFOA・PFFHxS等を分析する方法です。環境省が発行した通知に基づく試験法になります。

 

【海外】EPA Method 1633

EPA Method 1633は、EPA(米国環境保護庁)が定めた分析法です。公共用水や地下水、土壌等を対象とした40項目の化学物質を分析できます。

 

 

水質におけるPFOAの含有調査

環境

飲料水におけるPFOAの含有は世界的に大きな課題の一つです。特にヨーロッパやアメリカでは議論が深まり、規制内容も日々変化を続けています。


その影響を受けて、2020年には日本国内でも水道水の暫定目標値がPFOS・PFOAの含有量合計で50 ng/Lと定められました。水質管理目標設定項目に規定されて以降、調査の需要はさらに増加傾向にあります。今回は、公定法として日本の通知法とアメリカのEPA法に関してご紹介いたします。

 

【国内】通知法

公定法は、日本国内において標準の分析法を指します。水環境における公定法では、河川などの水に含まれるPFOS・PFOA・PFFHxS等の濃度の分析が可能です。環境省が発行した通知「環水大水発第2005281号/環水大土発第2005282号」に基づいています。

 

【海外】EPA 537.1

「EPA 537.1 modified」は、飲料水中の分析法「EPA Method 537.1」を環境中にも適用できるように改良したユーロフィン日本環境の独自メソッドです。国際的な認定であるISO17025認定も取得しており、22項目の化学物質を分析可能です。

また、ユーロフィン日本環境では、迅速法という独自の分析法も採用しています。この分析法では、水環境におけるPFOS・PFOA・PFHxS・PFHxAの濃度を測定できます。

 

 

PFOAの含有調査は分析法の種類を把握しよう

PFOAの含有調査には多くの種類があります。どの分析法を選ぶのか、目的を把握した上で適切な分析法を選択しましょう。PFASに対する規制状況は、刻一刻と変化を続けています。国内外のニュースや規制動向を注視して、常に情報をアップデートすることが重要です。

 

 

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記事の監修者

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

PFAS分析を行うユーロフィングループのネットワークを活かして、国内外の様々なPFASにまつわる情報を配信しています。

 

 

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