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国内外のPFASモニタリングの状況は?水道水や食品の公的な調査結果

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投稿日:2026年3月24日

河川水サンプリング

日本では近年、水道水や食品を中心にPFAS(有機フッ素化合物)に関する公的調査が進み、実態が少しずつ明らかになってきました。一方で、土壌や地下水に関する全国規模のモニタリングは十分に整備されておらず、地域ごとに情報量に差があるのが現状です。

海外に目を向けると、EUや米国ではPFASの環境調査が早くから進み、広域モニタリング制度や土壌汚染対策の国際プロジェクトも動き始めています。こうした国際動向は、日本の監視体制づくりにも影響を与える可能性があります。

本記事では、水道水・環境水・食品など国内で公表されているPFASモニタリング結果を整理するとともに、欧州の先進事例も取り上げながら、国内外の調査状況と課題について解説します。

 

INDEX

 

 

PFASのモニタリングとは

土壌中のPFASサンプリング

PFASのモニタリングとは、水道水、公共用水域、地下水、食品、土壌などに含まれる濃度を行政機関などが継続的に調査し、結果を公表・管理する取り組みを指します。

地域ごとの汚染状況の把握や健康リスク評価、対策の優先度づけに不可欠な基盤となるものです。

日本では2020(令和2)年度以降、水道水や公共用水域を中心にPFASモニタリングが拡充され、近年は食品分野でも国産農畜水産物の実態調査が進められています。

一方で、土壌中のPFASのように、体系的なモニタリングがまだ十分に整備されていない分野も残っています。

 

PFASのモニタリングを行う理由

1万種類以上にも及ぶPFASは、難分解性・高蓄積性・長距離移動性などの特性を有する化学物質であり、人や動物の健康に影響を及ぼす可能性が懸念されています。

過去には日本国内の公共用水等でPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)が、基準値・暫定目標値を超過する事例が確認されています。

国内で実施されているPFASのモニタリングは、汚染状況の推移を正確に把握し、飲用によるばく露防止など適切なリスク管理対策を講じるための重要な取り組みの一つです。

PFASの特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

 

【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで

PFASとは

 

PFASモニタリングの実施方法

国内のPFASモニタリングは環境省が主体となり、自治体と連携して継続的かつ網羅的に実施されています。

調査の対象は、水道水、河川などの公共用水域、地下水、食品中など多岐にわたります。

環境省が公表した資料「PFASに関する今後の対応の方向性」では、排出源となり得る施設周辺や、暫定指針値を超過した地域における調査を強化する方針が示されています。

また、将来的な取り組みとして、土壌中に含まれるPFASの調査や、2025年5月にPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)に追加されたLC-PFCAs(ペルフルオロカルボン酸)など、PFOS・PFOA以外の物質を対象とした調査の必要性も指摘されています。

 

関連記事:PFASが人体に及ぼす影響は?健康リスクや国内の汚染事例

悩む女性

 

 

水道水に含まれるPFASモニタリング

コップに注いだ水道水を持つ様子

PFOSとPFOAは、2020(令和2)年に当時の厚生労働省により水道水の水質管理目標設定項目に位置付けられ、暫定目標値が「PFOSとPFOAの合算値で50 ng/L以下」と定められました。

これを受けて、令和2年度以降、全国の水道事業者等においてPFOS及びPFOAの水質検査が継続的に実施されています。

検査を実施した事業所数は毎年増加している一方、暫定目標値を超過した事業所数は減少を続けており、令和6年度9月30日時点で検査事業所数のうち暫定目標値を超過した事業所はゼロとなりました。

これまでの検査で暫定目標値以下の水質が確認されている給水人口の割合は、水道の給水人口全体の98.2%に達しています(残り1.8%の内訳は専用水道(調査対象外)、および検査未実施分)。

 

年度 検査を実施した事業所 暫定目標値を超過した事業所
2020(令和2)年度 466 11
2021(令和3)年度 801 5
2022(令和4)年度 869 4
2023(令和5)年度 1325 3
2024(令和6)年度
(※9/30時点)
1745 0

 

2026(令和8)年4月1日からは、PFOS及びPFOAが水質管理目標設定項目から水質基準項目へと引き上げられる予定です。施行後は原則としておおむね3か月に1回以上の検査が水道事業者に求められます。

 

 

環境水に含まれるPFASモニタリング

河川水サンプル

環境省による全国的な存在状況把握調査では、PFOS及びPFOAの排出源となり得る施設周辺などを対象に、令和元年度に171地点を調査し、そのうち37地点で暫定指針値の超過が確認されました。

令和2年度に行われた調査では、143地点のうち21地点で暫定指針値を超過しています。

これらの超過地点の水はいずれも飲用用途ではありませんが、環境省から各都道府県に対して、井戸の所有者等への飲用に関する注意喚起を行うよう依頼されています。

令和2年以降は、令和5年まで毎年度「公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果」を公表しており、令和5年度の集計結果では、PFOS及びPFOAについて39都道府県、2,078地点(河川、湖沼、海域、地下水)で測定が行われました。

このうち、指針値(暫定)を超過した地点は242地点であり、内訳は河川56地点、地下水186地点となっています(湖沼及び海域での超過はなし)。 

 

年度 基準値(2026年4月1日以降) 暫定指針値を超過した地点 超過割合
2019(令和元)年度 171 37 21.6%
2020(令和2)年度 143 21 14.7%
2021(令和3)年度 1,133 81 7.1%
2022(令和4)年度 1,258 111 8.8%
2023(令和5)年度 2,078 242 11.6%

※2019〜2020は、排出源となり得る施設周辺等を対象とした「全国存在状況把握調査」の結果です。2021〜2023は、都道府県等から環境省へ報告のあった公共用水域・地下水の測定結果を取りまとめた公表値です。調査枠が異なるため、表中の割合は参考値であり単純比較はできません。

なお、公共用水域及び地下水におけるPFOS及びPFOAについては、2020(令和2)年5月に人の健康の保護に関する要監視項目に位置付けられ、暫定指針値(PFOSとPFOAの合算値で50 ng/L以下)が設定されました。

その後、2025(令和7)年6月30日に「指針値(暫定)」から「指針値」へと変更されており、水道水の基準と同様に「PFOSとPFOAの合算値で50 ng/L以下」という水準が維持されています。

 

 

食品中に含まれるPFASモニタリング

食品中に含まれるPFASモニタリング

 

農林水産省は、平成24~26年度に実施した「予備調査(トータルダイエットスタディ)」の結果から、一般的な食生活では魚介類(水産物)がPFOS及びPFOAの主たる摂取源であると推定しています。

その後、令和3~4年度の「水産物中のパーフルオロアルキル化合物の実態調査結果」により、魚介類に含まれるPFASの濃度分布や検出状況がさらに詳細に把握されています。

2024(令和6)年度には、本格的な含有実態調査として、国産農畜水産物14品目(コメ、鶏卵、アユ、アサリなど)を対象に、PFOS、PFOA、PFNA(ペルフルオロノナン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)の4物質について調査を実施しました。

14品目の分析結果と平均的な消費量からPFOSとPFOAの総摂取量を試算したところ、PFOSで0.10 ng/kg体重/日、PFOAで0.08 ng/kg体重/日となり、食品安全委員会が設定したTDI(耐容一日摂取量)20 ng/kg体重/日と比較して、いずれも十分に少ない水準であることが確認されています。

一方で、鶏卵や水産物の一部では、製品・品目によってPFAS濃度に大きな幅が見られた点が指摘されています。

 

 

海外のPFASモニタリング調査

水道水のサンプル

 

海外では、日本よりも早期からPFASの環境調査が進められており、水道水・環境水・土壌など多様な媒体を対象とした大規模モニタリングが実施されています。

本章では、特に情報公開が進んでいる米国と欧州の事例を取り上げ、各地域でどのようなPFAS監視体制が整備されているのかを紹介します。

 

USGS(米国地質研究所)の大規模調査

米国では、2023年にUSGS(米国地質研究所)が、全米規模で初となるPFAS汚染状況の推定結果を公表しました。

この調査では、2016年から2021年にかけて採取された、716地点の民間井戸と公共の水道水のサンプルを対象に、PFOS、PFOAのみでなく、32項目のPFAS分析が実施されました。その結果、全米の水道水の少なくとも45%には、1種類以上のPFASが含まれている可能性があると推定されています。

USGSが公開した画像資料では、米国各地のサンプリング地点とPFASの検出状況が示されており、都市部やPFASの排出源がある地域において、より高濃度で検出される傾向が見られています。

 

欧州水域のPFAS汚染調査

欧州では、2024年にEEA(欧州環境庁)が発表した報告書「PFAS pollution in European waters」によって、欧州各地の水域におけるPFAS汚染の実態が明らかになりました。

報告では、2022年のデータに基づき、水域に設けられた約1,300のモニタリング地点から得られたデータが集約されています。最大15項目のPFASに対して調査が行われましたが、報告ではPFOSに関するデータが中心にまとめられています。

データは調査年ごとに集計されており、分析結果によれば、調査地点のうち河川の51〜60%、湖沼の11〜35%、遷移水域および沿岸水域では最大で47〜100%の地点で、PFOSが環境品質基準を超過していました。2022年時点で最も基準を超過したのは沿岸および遷移水域であり、73%の地点で基準超過が確認されています。

これらのデータは、PFASが「一部の水域だけの問題ではなく、欧州全体で継続的に監視すべき環境課題」である可能性を示しています。

一方で、報告書自体もデータの地域・物質・測定頻度に偏りやギャップがあることを指摘しており、汚染の全貌を捉えるにはさらなるモニタリングの拡充と分析方法の改良(高感度化・測定対象項目の拡大)が求められています。

 

 

コラム:欧州の先進事例に見る土壌汚染対策

土壌中に含まれるPFASモニタリング

日本では現在、全国規模で土壌中に含まれるPFASのモニタリング体制は十分に整備されていません。一方で、欧州では土壌汚染に対する国際的な取り組みが進んでいます。

欧州では、2023年にEUの研究助成制度「HORIZON Europe」の支援を受けて、国際研究プロジェクト「ARAGORN(Achieving Remediation And Governing Restoration of contaminated soils Now)」が開始されました。

ARAGORNは、PFASを含む難分解性汚染物質による土壌汚染を対象に、汚染サイトのマッピングや包括的な評価・モニタリング、浄化(レメディエーション)手法の検証などを行い、土壌の修復と再生に向けた共通の評価基準やガイドラインの整備を目指しています。 

プロジェクトにはデンマークのEurofinsもパートナーとして参画し、技術的な知見の提供や意思決定支援の枠組みづくりを担っています。 

ARAGORNのような先進的な取り組みは、土壌汚染対策に関する評価手法やモニタリング技術、浄化後の土地利用まで含めた長期的な視点を提供するものであり、日本をはじめ世界各国で今後本格化すると予想される土壌中のPFASモニタリングや汚染対策の議論にも、大きな影響を与える可能性があります。

 

 

PFASモニタリングの調査結果を現状と今後について

日本国内では、水道水・環境水・食品などを対象に、行政機関によるPFASモニタリングが継続的に実施されています。

現状では、一部の河川や地下水で暫定指針値を超えるPFASが確認されています。一方で水道水については、モニタリングに参加した水道事業者の範囲において、暫定目標値を超えた事業者は令和6年度時点でゼロとなっています。また、食品のモニタリングでは、食品安全委員会が設定するTDI(耐容一日摂取量)を超えるPFAS濃度は確認されていません。

ただし、水道水に関しては、モニタリング未参加の水道事業者も存在するため、全国すべての水道水で基準超過がゼロと断定することはできません。また、水道水の暫定目標値や環境水の指針値は今後見直しが進んでおり、PFASに関する研究・知見の蓄積に伴って、基準値自体が改訂される可能性もあります。

PFASを取り扱う企業にとっては、国内の規制動向やモニタリング結果を継続的に把握し、必要な対策を早期に検討することが重要です。

 

 

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ユーロフィン日本環境株式会社
PFAS MEDIA編集部

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