PFASを簡易的にテストする方法はある？代表的な試験・検査の手順

投稿日：2025年4月16日

PFAS 分析

昨今は日本各地で河川や水道水から基準値を超えるPFAS（有機フッ素化合物）が検出されたという報道が相次いでいます。

近隣地域や身近な業界でPFAS曝露の事例を目にすると、PFAS含有の有無を自身でテストしたいと考える方もいるでしょう。

この記事では、PFASを簡易的にテストする方法の有無や分析依頼の方法について、専門的な知識も交えながら詳しく解説します。

INDEX

PFAS

OECD（経済協力開発機構）の定義によれば、PFASは「完全にフッ素化されたメチルまたはメチレン炭素原子を少なくとも一つ含むフッ素化合物」を指します。

PFASに分類される物質は1万種類以上が該当すると推測されていますが、正確な数は分かっていません。

PFASには撥水性・撥油性・耐熱性に優れているなどの特徴があり、日本を含めた世界各国で幅広い用途で使用されてきました。

しかし、人体・生物への影響や環境中に長期間残留する特性が危惧され、日本を含めた世界各国で製造・使用・輸出入を規制する動きが強まっています。

なお、日本では化審法（化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律）により、以下3つの物質の製造・使用・輸入が禁止されています。

PFASについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

PFAS 分析者

PFASが人体の健康に与える影響は、研究が進んでいない部分も多く、確かなことが断言できないのが現状です。

しかし、IARC（国際がん研究機関）によれば、PFOAは「グループ1（ヒトに対して発がん性がある）」、PFOSは「グループ2B（ヒトに対して発がん性がある可能性がある）」に分類されています。

現時点の研究では、少なくとも生物・人体に何らかの影響が及ぶ可能性があると判断されているため、PFASの曝露には一定の注意を払う必要があります。

新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの検査キットのように、個人が簡易的かつ即日にPFASを検査できるテストキットは、現状存在しません。

その理由として挙げられるのは、以下のようなものがあります。

※汚染された物質や微生物などの異物が採取した試料に混じること

飲み物や食品、水、土壌等にPFASが含まれていないかを調べるには、専門機関に分析を依頼するのが現実的な選択肢となります。

PFAS 女性分析者

環境・製品・食品・血液等にPFASが含まれていないか確認するには、専門の研究機関に試料を送り、分析を依頼するのが最も確実な方法です。

具体的な依頼方法や手順は研究機関によって異なるため、依頼時に詳細を確認することが大切です。ここからは、各分野別のPFAS分析の種類について紹介します。

まずは、環境水、地下水、排水、飲料水、土壌、排ガスに含まれるPFASを分析する場合に用いられる代表的な方法を紹介します。

土壌中のPFOS・PFOA・PFHxSに係る暫定測定方法		環境省が発行した通知に基づく土壌分析の公定法。土壌におけるPFOS・PFOA・PFHxSを分析できる
EPA Method 1633		EPA（米国環境保護庁）が定めた分析法

製品・材料・機械などの工業製品に含まれるPFASを分析する代表的な方法として、以下の方法を紹介します。

なお、いずれの方法を用いる場合でも、試料の一部を採取して研究機関に送る必要があります。分析を依頼する際は研究機関の指示に従いましょう。

LC -MS/MS法		製造業から食品業界まで幅広く使用されている化学物質の分析法であり、POPs条約（残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約）、REACH規則（化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規則）、化審法等で規制された化学物質の含有調査において使用される
燃焼イオンクロマトグラフ法によるPFASスクリーニング試験		元々はプラスチックや樹脂等の固体材料や、有機溶媒等の液体材料に含有するハロゲン（F、Cl、Br）や硫黄の含有量を調査するための方法。PFASとその塩に加えた関連物質の総PFAS数の値も調査できることから、公的な分析法ではないものの、幅広く使用されている