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PFAS MEDIA >> 調査・分析法 >> PFAS検査・分析にはどのような種類がある?代表的な分析法と対象の種類

PFAS検査サービスの種類を解説|検査項目数や分析法について

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投稿日:2024年6月23日(2025年2月6日更新)

※ 本記事は「PFASの検査・分析にはどのような種類がある?代表的な分析方法と対象の種類」を更新したものになります。

試験管と試薬

近年ニュースで話題を集めることが多い化学物質が、PFAS(有機フッ素化合物)です。

環境や人体への影響が問題視されたことで、PFASの製造や使用の制限・禁止などの規制が国際社会で広がる中、PFASの分析や検査に着手する企業が増えています。

この記事では、試料に応じたPFAS分析法の種類や特徴、検査サービスを受ける際の流れなどを解説します。

 

INDEX

 

 

PFAS検査サービスの種類について

PFAS分析の種類

PFASの分析対象となる試料には、製品・飲料水・環境(大気・水質・土壌)・食品・血液など様々な分類があります。

PFASは1万種類以上の化学物質が該当し、性質は一律ではありません。そのため、分析法によって検出できるPFASの項目数はそれぞれ異なります。

日本の化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)で規制の対象になっている3種類のPFASの含有有無を検査する方法のほか、その他を含む多項目まで分析できる方法もあります。

 

化審法で規制対象になっているPFAS

  • PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
  • PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
  • PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)

 

また、分析法によって検出できる項目数だけでなく、定量下限値(分析法で検出可能な成分の最小値)も異なるため、検査に必要な期間やコストも変わります。

PFASの特徴や規制の歴史について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

 【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで

PFAS

 

 

製品におけるPFAS検査・分析

分析機器へのセッティング

ここからは、各分類ごとの検査サービスと分析法について詳しく解説します。

まずは部品・機械などの工業製品における、代表的なPFAS検査・分析の手法について紹介します。 

 

LC/MS/MS法

LC/MS/MS法は、製造業から食品業界まで幅広く使用されている化学物質の分析法です。

POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)、REACH規則(化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則)、化審法などで規制された化学物質の含有調査等で使用されています。

分析可能な化学物質の一例は、PFOAを含めたPFCAの13項目、PFOS・PFHxSを含めたPFSAの7項目などです。なお、分析を実施する企業によって測定できる項目は異なります。

検査を依頼する企業の担当者と連絡をとりながら検討を進めましょう。

 

燃焼イオンクロマトグラフ法によるPFASスクリーニング試験

燃焼イオンクロマトグラフ法によるPFASスクリーニング試験では、PFASとその塩に加えた関連物質の総PFAS数の値を調査できます。

元々は国際的なメーカーにより、電子製品における製品中のハロゲンを分析する方法として採用されました。公的な分析法ではありませんが、多くの企業が採用しています。

 

製品に関するPFAS分析を検討されている方は、こちら をご覧ください。

 

 

飲料水におけるPFAS検査・分析

水 飲料水

国内で水道水やミネラルウォーターからPFASが検出された事例が発生したことで、飲料水の検査を検討する企業が増えています。

ここでは、水道水・井戸水・ミネラルウォーターなどの飲料水に関する検査を紹介します。

 

EPA Method 533

EPA(米国環境保護庁)が発表した「EPA Method 533」は、飲料水に含まれるPFASを測定する分析法です。特定できるPFASは25項目あります。

 

EPA Method 537.1

「EPA Method 537.1」は、同じくEPAが発表したPFASを測定するための分析法です。この方法で特定できるPFASは18項目となっています。

また、飲料水だけでなく環境中にも適用できるようにアップデートした「EPA 537.1 modified」というユーロフィン日本環境の独自メソッドもあります。

この独自メソッドでは「EPA Method537.1」の18項目に「EPA Method 533」の4項目を追加した計22項目の分析が可能です。

 

公定法

公定法は、環境省の通達によって指定された分析方法になります。

PFOS・PFOAは現在、水道法に基づく水質管理目標設定項目に指定され、50 ng/Lの暫定目標値が設定されています。そのため、飲料水に関わる多くの企業が河川等のPFAS調査を実施しています。

環境省からは「水質管理目標設定項目の検査方法」が公表されており、この中にPFOS・PFOA・PFHxSの検査方法(分析法)も収載されました。

この検査方法は元々、当時の管轄であった厚生労働省が2003年に公表したもので、その後の水質管理目標設定項目の改正に合わせて収載内容も改正しています。

 

飲料水に関するPFAS分析を検討されている方は、こちらをご覧ください。

 

 

環境中のPFAS検査・分析

PFAS 河川水

水質・大気・土壌などの環境分析は、PFOS・PFOA・PFHxSの規制に対する議論が活発化している領域です。ここでは、公定法と検査機関が独自に確立した分析法を紹介します。

 

EPA Method 1633

「EPA Method 1633」は、EPAが定めた分析法です。様々な水質試料(表層水・地下水・廃水など)や、土壌、底質、バイオソリッド、魚介類組織などの試料が分析に使用でき、検出対象のPFASは40項目あります。

国際的なPFAS対応が必要な場合や、環境中のPFASをより多く調査したい場合に使用される分析法の一つです。

ユーロフィン日本環境では、2024年に発表された「EPA Method 1633」に基づいた検査サービスを提供しています。この分析法では、泡消火薬剤等に含まれる6:2 FTSやPFHxA(ペルフルオロヘキサン酸)など、将来的に規制される可能性が高いPFASを含めた40項目の分析が可能です。

 

公定法

環境中のPFASに関して、現時点で日本の公定法に該当するのが、環境省が発行した通知「環水大水発第2005281号/環水大土発第2005282号」に基づく検査・分析法です。この公定法では、河川などの水に含まれるPFOS・PFOAの濃度を分析できます。

PFHxSについては、第19回環境基準健康項目専門委員会が開かれた際の資料に収載された分析法が公表されました。

水環境においては、PFOS・PFOAが要監視項目として水道水と同じ50 ng/Lの暫定指針値が設定されており、多くの企業が調査の実施を検討しています。

また、ユーロフィン日本環境では、迅速法という独自の分析法も採用しています。この分析法は、短時間で水質試料におけるPFOS・PFOA・PFHxS・PFHxAの濃度測定が可能です。

 

土壌中のPFOS・PFOA・PFHxSに係る暫定測定方法

「土壌中のPFOS・PFOA・PFHxSに係る暫定測定方法」は、環境省が発行した通知に基づく分析法です。

土壌におけるPFOS・PFOA・PFHxSを分析するための方法で、土壌溶出量試験と土壌含有量試験の2種類があります。

現在、国内の土壌におけるPFASの基準値は定められていません。また、分析法についても検証不十分などの理由から確立されていないため、暫定測定方法として公表されています。

 

PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する 技術的留意事項

廃棄物、液状廃棄物、廃水、排ガスにおけるPFOS・PFOAの分析法について定められています。

また、排ガスについてユーロフィン日本環境では、独自メソッドで35項目のPFAS分析が可能です。

 

環境中のPFAS分析について検討している方は、こちら をご覧ください。

 

 

血液におけるPFASの検査・分析方法

特定の地域や職業でPFASを扱う人を対象にした、血液中のPFAS分析法もあります。しかし、血液に関しては公定法が現時点で定められていません。

そのため、各研究機関がそれぞれの知見を活かして、血液中におけるPFAS濃度の検査サービスを実施しています。

国内の検出事例が相次いだこともあり、血液中のPFAS検査はより注目されるでしょう。

PFAS Exposure™ 自己血採取キット

ユーロフィングループでは、「PFAS Exposure™ 自己血採取キット」 を取り扱っています。自身で簡単に採血でき、検体を送付することで45項目のPFAS濃度が測定可能です。

 

 

食品におけるPFASの検査分析方法

食品におけるPFASの分析法について、現時点で国際的に標準化された方法はありません。一方で、EU(欧州連合)では一部の食品に対する規制を設けています。

日本では、農林水産省がFDA(米国食品医薬品局)によって開発された分析法をもとに、農産物のPFAS測定に使用できる分析法をまとめて2024年に公表しました。

ただし、この分析法で測定できるPFASは、規制対象の3種にPFNA(ペルフルオロノナン酸)を加えた4項目のみです。

食品については、PFAS含有量と人体への影響に関する調査が全国的に開始されているため、今後の動向に注目です。

 

 

PFAS検査サービスの流れ

PFAS実験

PFASに関する検査は、試料カテゴリーや分析法などで受けられるサービスが研究機関によって異なります。

PFASの分析を依頼する場合、関連法規を確認のうえ「検査の目的」「試料カテゴリー」「何項目のPFASを分析したいか」など総合的に考慮して検査サービスを選びましょう。

研究機関によっては「どの検査が最適か」を相談できる場合もあるため、一度問い合わせてみることを推奨します。

ここでは、ユーロフィン日本環境で環境中のPFAS分析を依頼する場合の流れを例に、紹介します。

 

問い合わせ(見積依頼)

公式ホームページのお問い合わせフォームより、問い合わせください。

フォームには対象試料を記載の上、分析項目などが決まっている場合は併せて記載ください。
その他不明点・ご相談事項がある場合は併記いただけると、担当者よりご回答させていただきます。

 

試料の採取・送付

環境中のPFASは基準値が「ng(ナノグラム)」と低く定められており、クロスコンタミネーションに十分留意する必要があります。PFAS調査においてクロスコンタミネーションのリスクは採取時が最も高いとされており、細心の注意を払うだけでなく、採取時の道具の材質を限定する必要があります。
ユーロフィン日本環境では、ブランクチェックした採取器具を用いて採取もさせていただきます。(試料を送付いただくのみも可能です)

 

分析

依頼内容によって分析が行われますが、分析にかかる期間・費用などはお問合せ下さい。

 

納品(分析結果の報告)

報告書(分析結果)は、電子媒体(PDF)で送付されますが、研究機関によっては紙媒体での送付も受け付けています。ユーロフィン日本環境では英文での報告書作成も可能です。

調査・分析の専門家が多数在籍しているので、分析だけでなく調査検討・採取・輸送・分析、そして分析結果を踏まえて今後どのような対策が必要なのか等、アドバイスまで一括でご対応させていただきます。

 

ユーロフィンの環境中PFAS分析はこちらからお問い合わせください。

 

 

PFASの検査対象は拡大している

PFASは米国やEUなどを筆頭に国際的な規制強化の動きが強まっており、日本の法規制も後に続く可能性が十分あります。

PFAS検査の需要は年々増加傾向にあり、検査機関で実施される検査・分析・試験の対象も拡大しています。

今後も増えることが予測されるため、国内外の規制の動向を注視することが必要です。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析については

こちらからお問い合わせください

お問い合わせ

 

 

記事の監修者

緒方さん

ユーロフィン日本環境株式会社

ラボラトリー事業部 POPsグループ

PFAS・PCBチーム 緒方 駿

<経歴>

2017年 日本分析化学専門学校 生命バイオ分析学科 卒業
卒業後、リンパ球バンク株式会社に入社し、ANK療法に必要な細胞の培養などを行う。
その後2019年から田村薬品工業株式会社にて医薬品の理化学試験、微生物試験及びバリデーション取得などに従事。2022年よりユーロフィン日本環境株式会社でPFAS分析や分析法導入などを行う。

 

 

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