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土壌汚染の調査はどのように行うべき?対象地や調査手順について解説

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投稿日:2024年5月14日

土を掬う手

特定有害物質により汚染が生じている可能性のある土地は、法律によって土壌汚染調査(土壌汚染対策法では「土壌汚染状況調査」)が義務付けられています。調査の概要については専門性の高い知識を求められるため、詳しく知らない方も多いでしょう。この記事では、土壌汚染調査の対象地や手順、具体的な調査方法を分かりやすく解説します。

 

INDEX

 

 

 

土壌汚染調査の概要

土壌調査

土壌汚染の可能性がある場所では、土壌汚染対策法に基づいた調査が義務付けられています。ここでは、土壌汚染調査の対象地や対象物質、土壌汚染のリスクなどについて解説します。

 

土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法とは、有害物質による土壌汚染が人の健康に影響を及ぼす可能性があることを踏まえ、その防止を目指す目的で2002年に制定された法律です。

土壌汚染対策法によって調査が必要と判断された土地は、土壌汚染調査を実施し、その結果を都道府県知事等に報告することが法律で定められています。

 

土壌汚染調査の対象地と対象物質

土壌汚染対策法では、以下の3つの条件に該当する土地に対して土壌汚染調査を実施するように義務付けられています。

 

  • 有害物質使用特定施設の使用の廃止時<法第3条>
  • 一定規模(3,000平方メートル)以上の土地で、形質の変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認めるとき<法第4条>
  • 土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が認めるとき<法第5条>

 

※法第3条・法第4条では、土地の状況により調査が必要となる条件が異なる場合がありますのでご注意ください。

2024年4月時点では、26種類の特定有害物質が調査対象となっており、特定有害物質の種類に応じた調査を実施します。土壌汚染調査の対象となる特定有害物質は以下の通りです。

 

土壌汚染調査の特定有害物質
第一種特定有害物質(揮発性有機化合物) クロロエチレン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン
第二種特定有害物質(重金属等) カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ほう素及びその化合物
第三種特定有害物質(農薬等/農薬+PCB) シマジン、チオベンカルブ、チウラム、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、有機りん化合物

引用:環境省「土壌汚染対策法のしくみ」

 

土壌汚染のリスク

土壌汚染には、直接摂取リスクと、地下水等経由の摂取リスクという2つの大きなリスクがあります。

直接摂取リスクとは、土壌に直接触れることで有害物質を摂取するリスクのことです。一方、地下水等経由の摂取リスクとは、土壌に含まれる有害物質が地下水に溶け出して、その地下水を飲むことで有害物質を摂取するリスクを指します。

土壌汚染対策法では、地下水等経由の摂取リスクについては土壌溶出量基準で、直接摂取リスクは土壌含有量基準により土壌汚染の有無を判断します。

 

 

土壌汚染調査の手順と内容

土壌分析

土壌汚染調査は、大きく分けて3つの手順で実施します。ここでは、土壌汚染調査の手順と、各手順の調査内容について解説します。

 

1.地歴調査

土壌汚染のおそれを推定するための情報を把握するための調査です。土地の利用履歴、特定有害物質の使用状況などを調べ、特定有害物質の26物質について、敷地の用途ごとに、対象地を以下の3つに分類します。

 

  • 土壌汚染が存在するおそれがない土地
  • 土壌汚染が存在するおそれが少ない土地
  • 土壌汚染が存在するおそれが比較的多いと認められる土地

 

2.土壌汚染調査

地歴調査によって、土壌汚染の可能性があるとされた土地に対して土壌汚染調査を実施します。この調査により平面的な土壌汚染の範囲を把握します。

土壌汚染調査を実施する際には、調査対象区画が恣意的に設定されることを防ぐために区画選定方法が法律で定められているため注意しましょう。

また、土壌汚染の原因となる特定有害物質の分類ごとに、土壌ガス調査や表層土壌調査などの具体的な調査方法も決められています。各分類と調査方法については以下をご参照ください。

 

  • 第一種特定有害物質:土壌ガス調査 ボーリング調査(土壌ガス調査により検出された場合)
  • 第二種特定有害物質:表層土壌調査
  • 第三種特定有害物質:表層土壌調査

 

土壌汚染調査の調査結果は都道府県知事等へ報告することで、土壌汚染調査が終了します。

 

3.詳細調査

土壌汚染調査によって指定基準値を超える汚染物質が検出された場合、詳細調査を実施し、土壌汚染の深度方向の範囲を確認します。詳細調査で実施する調査方法は、ボーリング調査や地下水調査です。

汚染の平面分布から詳細調査を実施する地点を選定し、ボーリング調査や地下水調査を実施します。

これにより土壌汚染の平面方向、深度方向への土壌汚染の範囲と、地下水汚染の有無が確定します。この情報を基に、土壌汚染の措置について検討することになります。

 

 

PFAS汚染に関する土壌汚染調査の状況

土の中に埋まっているごみ

近年、PFAS(有機フッ素化合物)による土壌汚染や水質汚染が問題視されています。土壌汚染調査を実施する際に、PFAS調査の必要性について気になっている方も多いでしょう。ここでは、PFAS汚染に関する土壌汚染調査の状況について解説します。

 

現在環境省から暫定法が出されている

2024年4月時点では、土壌汚染調査の対象となる特定有害物質にPFASは含まれていません。そのため、一般企業が土壌汚染調査を実施する際に、土壌に含まれるPFAS濃度まで調査する必要はないでしょう。

しかし、2023年7月に国が暫定的なPFASの測定方法を公開しています。これにより、多くの場面でPFASの土壌汚染調査を実施しやすくなりました。

今後、国が公開した暫定的な測定法に基づいて、土壌汚染調査時にPFAS濃度まで調査する企業が増える可能性はあります。

 

今後は規制される可能性がある

土壌に含まれるPFASを測定する画一的な調査方法が明示されたことで、今後は法規制に向かっていく可能性も想定されます。

特にPFASは、世界的に規制される流れが強まっている物質です。そのため、将来的に土壌汚染対策法の規制対象となる可能性も十分に考えられます。

 

 

土壌汚染調査は指定調査機関で行う必要がある

土壌汚染の可能性がある土地は、土壌汚染対策法に基づいて調査を実施する必要があります。土壌汚染調査は指定された機関でしか実施できません。調査を実施する必要がある場合は、必ず指定機関へ相談しましょう。

PFASは将来的に土壌汚染対策法の規制対象となる可能性がある有害物質です。今後規制されることも想定して、調査の実施を検討するのも選択肢の一つでしょう。

ユーロフィンジャパンは、土壌汚染調査を実施できる指定機関です。土壌汚染調査についてお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。

ユーロフィン日本環境の「土壌汚染調査」についてはこちら

 

 

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