NIPTの判定結果-陽性・陰性・判定保留とは?

NIPTの陽性・陰性とは?
日本でのNIPTの対象疾患は、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3つです。
判定結果は、陽性・陰性・判定保留<注:判定不能と表記する分析機関もあります>のいずれかで、表記されます。
陽性とは、対象となる疾患を赤ちゃんが有する可能性が高いことを指します。
NIPTは精度の高い検査ですが、非確定的検査です。陽性という結果が間違っている可能性もあります。そのため、本当に赤ちゃんが染色体の変化を有しているかを確認するためには、羊水検査などの確定的検査が必要になります。
一方、陰性は、赤ちゃんが対象となる疾患ではない可能性が高いという意味です。ただし、検査にはわずかに偽陰性<注:染色体疾患であるのに陰性と判定される>があります。
NIPTの判定保留とは?
陽性・陰性以外に、「判定保留」という結果があります。NIPTの最終的な結果が判定保留であった妊婦さんは、GeneTech 社内データで約0.4%でした。この結果は、陰性でも陽性でもないことを意味し、具体的には、血液中のDNA量が足りない場合や、投薬の影響などで検査結果が出ない場合に起こります。
NIPTの検査精度(的中率)とは?
今回は、検査精度として、的中率の数字を用いて解説します。
陰性的中率とは、検査結果が「陰性」だった場合に、実際にその病気をもっていない人の割合で、陽性的中率は、検査で「陽性」だった場合に、本当にその病気であった人の割合です。
「陰性」「陽性」という結果がどれくらい正しいか・信頼できるかという指標が、的中率です。
NIPTにおける的中率は、例えば40歳の妊婦さんの場合、
陰性では、99.99% の陰性的中率でダウン症候群(21トリソミー)の赤ちゃんを妊娠していないと理解できます。
陽性と判定された場合、本当に染色体疾患である確率(陽性的中率)は理論的には86.5%程度です。また、年齢が高いほど、陽性的中率は上がります。
どうしてNIPTで偽陰性・偽陽性が起こるのかというと、それは、検査に用いる対象の違いが原因です。
確定的検査である羊水検査は、子宮内に浮遊する赤ちゃん由来の細胞を採取・培養して染色体診断・遺伝子診断するため、精度(感度)は100%です。
一方、非確定的検査のNIPTは胎盤に由来するDNAを利用し、間接的に赤ちゃんの状態を検査しているため、偽陽性や偽陰性が起こります。そのため、NIPTは確定診断にはなりません。
NIPTの結果に薬や食事などは影響する?
NIPTは、胎盤に由来するわずかなDNAを利用して、染色体疾患について調べる検査です。そのため、直前の食事の影響を受けることはありません。普段通りの食事を摂ってから検査を受けていただいて問題ありません。
一方で、妊婦さんが服用しているお薬の種類によっては、NIPTの判定結果に影響を与えることがあります。
代表的なものが、ヘパリンです。
GeneTechの社内データとして、ヘパリン服用中の妊婦さんの約10%の頻度で、ヘパリンが原因と思われる判定保留と判定されています。しかし、ヘパリンを一時的に停止することで、NIPTの結果が正しく得られるケースもあります。停止については、担当医の判断となりますので、遺伝カウンセリングでご相談ください。
また、妊婦さんご自身の体格も、判定結果に関係することがわかっています。肥満女性では、相対的に赤ちゃん由来のDNA量が少なくなるため、結果として胎児ゲノム率が基準値を満たさないことがあり、その場合「判定保留」となります。NIPTは妊娠9週から受けることができますが、もし判定保留となった場合は、なるべく遅い妊娠週数で再度検査を受けることで、胎児ゲノム率が上昇する場合があります。詳しくは、認証施設での遺伝カウンセリングでご相談ください。
NIPT 結果判定の種類
結果が「陽性」のときに知っておきたいこと
NIPTは、偽陽性の可能性があるため、非確定的検査という位置づけです。
そのため、陽性と判定された場合には、診断を確認するために追加の検査として、絨毛検査または羊水検査を受ける必要があります。
結果説明の遺伝カウンセリングでは、検査結果の開示だけでなく、確定的検査についての説明を受け、相談することができます。担当の医師や認定遺伝カウンセラーとよく相談しましょう。
結果が「陰性」のときに知っておきたいこと
認証施設で実施されているNIPTの検査対象である染色体疾患は、21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー・13トリソミーの3つです。「NIPT 陰性」とは、この3つの疾患のいずれかをもった赤ちゃんを妊娠していないと理解できます。
ただし、検査にはわずかに偽陰性があります。NIPTは確定的な検査ではないことは、事前に知っておきましょう。
生まれてくる赤ちゃんの3~5%は先天性疾患をもって生まれてきます。その中で、染色体疾患によるものは25%程度で、NIPTの検査対象外の疾患や原因不明の病気が多いのが現状です。このことについても、改めて、認識しておきましょう。
結果が「判定保留」になったときに知っておきたいこと
初回検査が「判定保留」のとき、次のステップは2つあります。
- NIPTをもう一度受ける
多くの場合では再度採血して検査を行います。ただし、再度検査をしても、再び判定保留となり、最終結果が得られない場合もあります。 - 確定的検査に進む
初回検査で判定保留と判定された場合もしくは、①で再度判定保留であった場合、赤ちゃんの染色体の状態を詳しく調べるために、羊水検査などの確定的検査が実施されます。
妊娠週数や赤ちゃんの状態によって選択肢が異なるので、担当医や認定遺伝カウンセラーとよく相談しながら決めることが大切です。
結果判定を受けて不安な方へ
認証施設では、陽性・陰性・判定保留の検査結果にかかわらず、検査後の遺伝カウンセリングの時間が設定されています。
NIPTは、検査から結果がでるまでに1~2週間程度要します。その間にお二人の考えかたも変わるかもしれません。
不安な気持ちや、検査後に改めて確認したいこともあるかもしれません。それらを整理し、サポートしてくれる存在が、遺伝関連の専門医や認定遺伝カウンセラーです。遺伝カウンセリングの場をうまく活用して、ご夫婦がともに納得できる意思決定をしましょう。
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