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PFAS(有機フッ素化合物)は水道水にも含まれているの?

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投稿日:2024年2月28日

水道水をコップに入れる様子

 

 

INDEX

 

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)とは

最近ニュースなどでも取り上げられることが多くなったPFAS(有機フッ素化合物)。
「ピーファス」と呼ばれており、耳にする機会も増えたのではないでしょうか。まずはどういった物質なのか、また、何に使用されてきたのか、解説していきます。

 

PFAS(有機フッ素化合物)とはどういう物質か

PFASとは、人工的に合成された有機フッ素化合物の総称です。
PFASは約1万種類以上あるといわれており、環境中で分解されにくく、一度体に取り込まれると排出されにくいことから「forever chemicals(永遠の化学物質)」とも呼ばれています。
水や油をはじくという特性から、撥水・撥油加工や汚れをつきにくくする製品のコーティング剤として様々な生活用品に使用されてきました。

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)は何に使用されてきたか

生活用品を購入する際、「撥水加工」「撥油加工」「汚れが付きにくい」「耐熱性」という言葉をよく見かけるのではないでしょうか。これはPFASが持つ特性であり、これまで身近にある電化製品や、衣服、フライパン、防水スプレー、食品包装紙、ウォータープルーフの化粧品など、様々な製品にPFASは使用されてきました。

PFAS Sources

 

<PFAS使用製品 一例>

防水加工の服や靴 レインコート カーペット スマートフォン
消火剤 殺虫剤 防水スプレー ファンデーション
口紅 界面活性剤 コンタクトレンズ クッキングシート
食品包装紙 フライパンや鍋 自動車部品 清掃用具
潤滑油 アイロン マイクロチップ 太陽光パネル

 

どれも私たちの日常生活に欠かせないものばかりです。

 

 

PFOS・PFOAって何?

1万種類以上あるとされるPFASの中で、代表的なものとしてPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)があります。

PFOSは主に半導体工業や金属メッキ、フォトマスク(半導体、液晶ディスプレイ)、写真工業、泡消火薬剤などの用途に使用されていましたが、環境中で分解されにくいことから2010年に化審法(化学物質審査規制法)の「第一種特定化学物質」に指定されたことで一部の用途を除き、製造・輸入・使用が禁止となりました。その後2018年に改正され、例外なく全ての用途で使用が禁止されています。

また、PFOAは防汚・撥水・ツヤ出しなどを目的に、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服などの用途で主に使用されてきました。こちらは2021年に化審法の「第一種特定化学物質」に指定されています。

 

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)が水道水から検出?

なぜ水源や浄水場から検出されるのか

浄水場

上記で述べたように、PFOSは2018年以降使用されていません。ですが、過去に使用していたことから工場排水などで流れ出たPFOSが土壌の中で残留し、地下水などに含まれている事例が出てきました。

水源や浄水場から検出される理由の一つとして、過去に使用されていたPFOS含有の泡消火薬剤や工場排水などが河川へ流出し、浄水場や水源を汚染していると考えられています。国内の法令で規制される前に製造された泡消火薬剤には、PFOS・PFOA を含有するものもありますが、関係省庁では PFOS を含まない泡消火薬剤への交換促進を図っています。

また、PFOS及びPFOAと同様の特性を持つPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)が代替PFASとして使用されていましたが、こちらも2024年2月に化審法の「第一種特定化学物質」に指定されました。

 

 

日本の最新調査状況

採水の様子

環境省ではPFASの水環境における全国的な存在状況を把握するため、2020年に「有機フッ素化合物全国存在状況把握調査」を実施しています。各都道府県のPFAS排出源となり得る施設周辺等の計143地点において、PFOS及びPFOAは全地点、PFHxSはそのうち各都道府県の1地点を対象に調査を実施しました。

結果はPFOS、PFOAの調査を実施した143地点のうち、12都府県の21地点で暫定目標値(PFOS及びPFOAの合算値で50 ng/L*)の超過*が確認されています。

PFHxSの調査では、実施した47地点のうち36都道府県の36地点において0.1 ng/L(報告の下限値)以上の検出が確認され、最大値は28 ng/Lとのことです。

 

*1 ng(ナノグラム)は、1 g(グラム)の10億分の1
*目標値を超過した地下水・湧水は飲用用途の水ではない

 

環境省は、継続的な環境モニタリングの実施により適切に検出状況の推移を把握し、その結果に応じ適切なリスク管理対策をとっていくことが重要だと考えており、2024年4月より水道水質・衛生に関する業務が環境省に移管されることを踏まえ、水道水質を含め一体的に知見の集積に努めていくとしています。

 

 

水道水の基準値について

厚生労働省は、水道水について2020 年に PFOS・PFOA を水質管理目標設定項目に位置付け、PFOSとPFOAの合算値で50 ng/L以下とする暫定基準値を定めました。(井戸水についても、水道水と同様に暫定基準値として50 ng/Lが設定されています。)

この基準値は、当時の科学的知見に基づき、体重50 kgの人が水を一生涯にわたって毎日2リットル飲用したとしても、この濃度以下であれば人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準を基に設定されたものです。

現在水道事業者等に対しては、水質基準に準じた検査等の実施に努め、水質管理に活用するとともに、水道水で暫定基準値の超過が確認された場合は、水道事業者等において水源の切替等の濃度低減化措置を講じるよう要請しているとのことです。

また、米国では飲み水に含まれるPFAS濃度を大幅に厳しくした基準値案を公表しました。各国・各機関でも基準値の見直しを検討されており、日本でも最新の科学的知見に基づき、暫定基準値の取扱いについて専門家による検討が進められています。

 

 

 

PFAS(有機フッ素化合物)の健康への影響

PFAS(有機フッ素化合物)を体に取り込むとどうなるのか

現在PFASは徐々に健康被害が明らかになってきており、2022年にアメリカの学術機関「全米アカデミーズ」の委員会は、連邦政府からの要請を受けて5000本以上の論文を分析し現在明らかになっていることをガイダンスにまとめました。

「関連性を示す十分なエビデンスがある」とされる症状は、動脈硬化などの原因となる脂質異常症、腎臓がん、抗体反応の低下(ワクチン接種による抗体ができにくい)、乳児・胎児 の成長・発達への影響です。

「限定的または示唆的なエビデンスがある」とされる症状は、乳がん、肝機能障害、妊娠高血圧症、精巣がん、甲状腺疾患または機能障害、潰瘍性大腸炎などがあります。

また、血液中のPFASの濃度は20 ng/mLを超える状態が続くと健康へのリスクが高く、2 ng/mL未満だとリスクは低いとされており、子どもや妊婦はその間の値であっても健康影響の可能性があるといわれています。

*PFOS・PFOAを含む7種類のPFASの合計値

 

 

 

水道水のPFAS(有機フッ素化合物)対策

ペットボトルとコップに入れた水道水

PFASを体に取り込む一番の経路と懸念されているのが毎日飲む「飲料水」です。できる対策としては以下のようなものがあります。

  • 浄水器の設置

  • ウォーターサーバーの設置

  • ミネラルウォーターの購入

 

活性炭処理やイオン交換樹脂がPFASの除去に有効であるとされていることから、活性炭やイオン交換樹脂を使用している浄水器などは、PFOS・PFOAを除去するための有効な手段といえるでしょう。

最近では浄水器協会(JWPA)で定められた規格基準の試験方法で検査し、PFOS・PFOAの除去がどのくらいできるのかを表示しているメーカーも増えてきています。

 

 

自治体の情報を確認しよう

自治体の公式サイトには、水道におけるPFAS検出結果を掲載している自治体が数多くあります。
必要以上に不安になるのではなく、お住いの地域の情報を確認して、できる範囲で対策をしていきましょう。

 

 

ユーロフィンのPFAS分析についてはこちらからお問い合わせください

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【参考資料】

 

記事の監修者

eurofins

ユーロフィン日本環境株式会社
品質保証グループ

第三者分析機関としての信頼性や適合性を担保するために、品質システムの整備や監視活動に従事。特に、当社では分析実施項目の大部分でISO/IEC 17025の認定を取得し、PFASについてもISO/IEC 17025認定を取得しており、それら認定の維持管理を主要業務としている。また、国内外のグループ会社と連携した相互監査や技能試験評価、品質会議など、世界中に展開しているEurofinsグループの強みを活かした取り組みも実施。