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エクソソーム/エキソソーム(Exosome)|これって何?バイオコラム 第10回

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こんにちは、もも太です。第1回目でご紹介したリキッドバイオプシ―、すなわち、がんなどの組織採取の生体検査(バイオプシー)をリキッド(血液)で代用させる検査ですが、この技術開発と応用が業界でどんどん進んでいます。血中に存在するCTC (Circulating Tumor Cells:血中循環腫瘍細胞)や、cfDNA/ctDNA (cell free DNA/circulating tumor DNA:セルフリーDNA/血液循環腫瘍DNA)の測定・解析はその代表格ですが、その他の血中に存在する新たな物質の測定・解析も注目されております。

 

第10回目はその一つである『エクソソーム/エキソソーム(Exosome、以後統一してエクソソームと呼びます)』を取り上げます。

 

エクソソームは、細胞が分泌する小胞(細胞外小胞と呼ばれる膜に包まれた袋状の構造)で、その大きさは直径数十ナノ(10の-6乗)メートルと非常に微小なカプセル状をしたものです。この存在は古くから知られていましたが、その役割は、長い間明確ではありませんでした。2000年代に入ってからの研究で、このエクソソームをはじめとする細胞外小胞には、マイクロRNA(microRNA、以下miRNAといいます)と呼ばれる数十塩基の短い核酸が内包され、しかも腫瘍細胞種によって特徴的で異なる種類のmiRNAを分泌することが明らかになりました。これらが移動することによって、離れた細胞や組織に情報を伝達するための役割を担っているという証拠が次々と明らかにされています。

 

実際に、エクソソームには様々なタンパク質や脂質、miRNAが含まれており、また、ほとんどすべての細胞から分泌されているとみられています。このように、別の細胞に運搬されることによって機能的変化や生理的変化を引き起こし、例えば、感染性病原体や腫瘍に対する適応免疫応答の媒介、組織の修復、神経伝達、病原性タンパク質の運搬など、生命活動の幅広いネットワーク現象に、「情報の運搬役」として関与していることが示唆されています。

 

このようなことがわかってきますと、異なる細胞腫のエクソソームに含有される特徴的なmiRNAなどを解析し、がんを含む様々な疾患のバイオマーカーとして注目されるのは自然の流れです。血液に限らず、尿や唾液などの体液にも大量に含まれおり、これらの検体を利用することにより非侵襲的に診断に役立てることが可能かもしれません。また、エクソソーム内に薬剤を内包させて標的細胞へその薬物を届けて治療を行うという応用なども考えられます。

 

血液ばかりでなく、尿や唾液でバイオプシーと同じレベルの性能で検査ができれば、患者さんにとってはほぼ負担がなくなり非常に有益ですね。これら検体の利用を見込んでの新たな「リキッドバイオプシー」にも目を向け、新たな受託サービスを提供できるようさらに努力してまいります。

 

【miRNA解析サービスのご案内】

  • miRNAマイクロアレイ解析: Affymetrix GeneChipR解析 マイクロアレイ
  • miRNAリアルタイムPCR解析: Affimetrix TaqMan Array MicroRNA Card

 

【関連サービスのご案内】

  • CTC (Circulating Tumor Cells):Veridex社のCellSearch System
    Veridex社の臨床試験情報サイトはここから
    ※乳がんをはじめとしたがん症例における治療効果の判定や予後予測因子として有用性が認められています
  • 血中循環DNA(cfDNA)を用いたEGFR変異解析サービス
  •  cfDNAのリーフレットはここから

 

 

なお、本件に関するお問い合わせは、お問い合わせフォームよりお願いいたします。